<< 2006年2月県議会での代表質問の主な内容 >>

@ 奈良県勢について

 柿本知事は今、平城遷都1300年のイベントに向けて、極めて精力的に取り組まれています。先般そのプラン構想を頂戴しました。奈良の都に繰り広げられた歴史のロマンに思いを馳せて、新しい奈良のロマンを拓こうとされている。このイベントへの興味さまざまであります。
 さて、私は県議会に席をいただいて27年。この間、奥田知事・上田知事時代をも過ごさせていただきました。「国土・県土の均衡ある発展」「保存と開発」を県政の冠とした基本政策を示されてきました。今日の過疎・過密現象を危惧されてのことだったと捉えております。
 柿本知事は一期目、14年前より「遊」をテーマとした政策を前面に押し出されてきました。かつての奥田・上田両知事時代の「均衡ある発展」「保存と開発」というテーマは、柿本県政にあっては「死語」になっているのでしょうか。柿本知事に先ずお尋ねしておきたい。
 近年は誠に恐ろしい、怖い世情にあります。子どもの安全、食べ物の安全、建物の安全、さらに健康、生命の安全までが損なわれています。いわゆる、偽装・偽計・偽証・偽善のまかり通る不愉快な現実です。これをみて、柿本知事のすすめられている「遊」、つまり「ゆとりと豊かさ」の政策の進行上いかなる心境におありか伺いたい。
 都市と農山漁村との格差は拡がるばかりであります。全国で6000のムラ・集落が消えていると報ぜられていました。私の出身地、御所市でも20戸あったムラが今では2世帯老夫婦だけのくらし、あとは空き家というムラがあります。少子化現象、いよいよ人口減の時代はともかくとして、南和・東和の人口減、過疎化は著しい。奈良県勢は「北高南低」「西高東低」は否めない歴然とした現実であります。
この現実を如何に柿本知事はお思いか。今日までの「遊」の県政は、「均衡ある県土の発展」「すべからく県民の安心感」に通じているとはいえないのではないか。あらためて所見をお伺いします。
 先般、招集された国会における小泉首相の施政方針において、経済の活性化にかかわって、「金融システムの安定した今日、貯蓄から投資への流れをすすめ、国民が多様な金融商品やサービスを安心して利用できるよう法制度を整備します。どの町も村も独自の魅力を持っているはずです。地域や町の潜在力を引き出し、日本、あるいは世界の中で一流の田舎や都市になろうとする意欲を支援してまいります」と表明されました。この内容を柿本知事は如何ように受け止められたかお尋ねしたい。
 投資から浮かんで参りますホリエモン事件は犯罪的マネーゲームであり、生産性と歯車が噛み合わない経済観念であります。あるいは小泉首相の一流の田舎とはどういう姿なのか。今の中南和・東和の田舎を何と表現すればよいのでしょうか。意欲を支援するとの内容はどんなものなのか、小泉内閣の国政を受けて柿本知事の対応策を尋ねる次第であります。
 昨秋、策定された「21世紀の観光戦略」包含しての「新やまと21世紀ビジョン」では「歴史の奈良」「住まいの奈良」「共生の奈良」を県の個性と捉え、住民・企業・行政などの一体性をさまざまな分野で活かそうという組立てのようであります。また、平城遷都1300年記念事業を、歴史文化との対話と交流をテーマとして構想計画を示されました。夢も構想も、推進体制や具体的プログラムを創らねば、ものごとは運びません。しかし、風説まがいの絵空事や一過性のイベントに終わらぬよう期待するものであります。
 ふりかえって見まするに市町村合併の推進があります。そもそも市町村合併は小泉内閣の過疎地域を安楽死させようとする構造改革だともいわれてきました。合併をしなければ過疎地域の野垂れ死にもやむなしの方針でありました。つまり、合併による一つの自治体の人口増という過疎対策の偽装でしかありません。
それにしても、県域を8ブロックに統合させる県の合併推進構想が、なぜ進まなかったのか明確にすべきではないでしょうか。合併実現は葛城市と宇陀市の二市誕生、奈良市と五條市への隣接村の吸収合併だけであります。私の御所市には合併の気運さえ訪れませんでした。その他の地域も如何であったのか、原因の追及なくして県民一体参画の県政ビジョンの着実化は本当に進展するのかどうか案ずる次第であります。
 読売新聞の新年特集として「輝け、わがまち」が7回連載され「やまと21世紀ビジョン」の内容紹介と地域活性化に意欲を持つ地域の姿が紹介されておりました。先の12月定例議会で、平城遷都1300年記念イベントとのタイミングとされ、観光を軸に据えた施策として、ホテル・旅館などの誘致に県税の優遇措置を打ち出されたことは、一つの具体的な展開ではありましょうが、このアドバルーンだけでは全県全域に根を張ったビジョン推進の広がりにはなりません。
県民挙げての参画と動きを求めるためにも、市町村自治体をはじめ、観光商工の各種業界や各界・各層からなる団体との連携組織が肝要であります。2月8日に行なわれました記念事業協会の第1回理事会のレジュメが届けられましたが、協力団体の機関承認や承諾を受けておられるのかどうか、イベント成功と地域活性化を願う県政と市町村政との効果・結節に通じる展開になっているのかどうか疑問であります。
 平城遷都1300年記念事業は、公費145億円、民間企業105億円、入場費100億円の計350億円をかけ、集客500万人を見込まれています。きびしい今日の経済環境だからこそのイベントだと理解し、これが成功を何はともあれ祈りたい。なおまた、古都奈良に建設の大極殿は、計上額195億円。国が総てを賄うということなので奈良のためには嬉しい。
また、昨年オープンされた県立図書情報館111億円余りの事業立派。けれども、これらの事業はいずれにしても北和中心の施策であり、北高南低・西高東低の域を出ないイベントであります。いささか南和の住民として嫉妬心を覚えるものであります。
 私は、かねがね持論として発想の転換を求めてきました。奈良県地図を十津川を上辺に置いたものに創り替え、かつその上に県政のウエイトを置き換えられたい。新しいバランスのとれた県政を構築していただきたいということであります。柿本知事にお願いしたいことは中南和・東和を県政から置き去りにしないことです。

A 三位一体改革について
 次は、三位一体改革の問題であります。地方分権にふさわしい展開になっているのかどうかの点検が重要であります。国や政府の示す結論で辛抱できるのか、我慢できるのかを率直に知事にお尋ねしたい。
 全国47都道府県のうち、わが奈良県は自主財源の乏しい自治体といえます。平成18年度県予算の編成にも苦心がうかがえますが、国庫支出金の削減の見返り税財源、地方交付税の激減、何をもって補うのか。また、県債を減らしても債務残高は平成16年度末においてすら、9000億円超。返済の財源、見通しは立てられない。
全国知事会をはじめ地方6団体の見解には、地方交付税削減の論調に自治体格差や差異の特殊性が組み込まれていないのではないでしょうか。柿本知事はこの地方6団体の改革案にすべて同意の見解なのかお伺いしたい。あわせて、三位一体改革本年度分においての県および県内市町村の利点・損点は如何なものであったのかを含めお伺いしたい。
 都会と農山漁村との格差を是正するための地方交付税の意義が損なわれている問題。税源の地方委譲のもと住民税にいくら税率を上乗せしても、人口の少ない地域で税収が伸びるはずがありません。また、広い面積ありても評価の低い資産に税収の増嵩が期待できるものでもありません。これでは、東京をはじめ首都圏を一極とする都市偏重の繁栄策であり、改革とは名ばかりの地方衰退の三位一体構造改革ではないかといわねばなりません。
 平成19年度以降、第2期改革につなげという一部府県の引き続いての地方分権改革の推進が強く求められているようでありますが、先に述べた都市と農山漁村の格差是正のための交付税の意義が損なわれたままの三位一体改革には、抵抗・批判を強められるべきであります。三位一体改革の目的は「住民の自治意識の醸成」「成熟した民主主義の土台となる真の地方分権改革の骨格づくり」にあるとするならば、なおのこと今の推進方針は受け入れられないものであると反論しておきたい。知事の所見は如何なものかお尋ねしたい。

B 産業振興について
今日、如何に時代の進展と共に新産業の創出が求められたとしても、伝統的地場産業をふるい落とすが如き展開は許されません。まだまだ郷土の心と巧と技を継承し続ける地場産業の振興は重要であります。工場等の近代化のために土地利用、建ぺい率等についての緩和措置であります。すでに調整区域の緩和措置を少々行なわれてはおりますが、事業の根付いた先祖伝来のその土地で伝統産業が生き続けることのできる、産地的配慮としての緩和措置には適合していない。いま一度、実情を見直し、改善措置を行なわれたい。

C 薬業振興について
 本年も正月早々、第32回配置従事者大会が開かれ、柿本知事も出席されました。業界関係者の今日的な薬業界における課題がきびしく提起され、参会者ともども、その切実性を確かめられたことであります。
薬業は、『奈良のくすり』として、わが奈良県の伝統的な主要産業であると認知されています。医薬品の製薬・流通・販売にかかわる業界の領域分担ありても、医薬消費の安全性確保は、常に業界従事者一体的連携にして、顧客消費者の信頼確保のために研鑽し、資質の向上に努めながら薬事それぞれを持続されて参りました。
 また近年、地震・積雪・豪雨などにおける災害時の医薬品等の備蓄が問題になっており、配置薬の貴重な存在意義が高まっています。医薬品販売の消費者利便のための緩和策として、従来、医薬品であったもののうち比較的作用が緩和なものを医薬部外品にクラス替えを行なうことで、コンビニ等においても販売サービスされるようになってはいますが、配置販売はこれらコンビニとは根本的に法的な位置付けが異なるばかりでなく、貴重な利便性・特殊性を背負っています。
また配置販売は、今日の飽食現代病にかかわる初期健康相談員的な役割を、情緒と安堵感を持って、情報提供と相談応需のできる伝統的体質をすでに充分備えているともいえます。「先用後利」をモットーに、奈良のもつ伝統の心を全国に伝え続けてきました。
 そのような状況の中、平成16年5月より厚生労働省の厚生科学審議会において、「医薬品販売制度の見直し」が検討されました。この報告を折り込んだ法改正が提起され、近く、国会に上程されるようであります。
厚生科学審議会の検討部会の報告書における、「医薬品販売に従事する者の資質確保とその確認のための資質認定試験の導入」は、医薬品のリスク分類と資質のあり方や、消費者・国民からの信頼確保の観点から考えると避けて通ることはできないとしても、試験制度の導入にあたっては試験のレベル、高齢従事者の処遇や販売における雇用の問題など配置販売業の歴史的意義、配置販売業の実態を充分に配慮したうえ、一定期間の経過措置や円満な導入措置が設けられるべしであります。
 また、この円滑な移行ができなかった場合、本当に困るのは、配置薬を使用している県民であり、国民であります。
このような観点から、新制度への円滑な移行が可能となるよう、知事は、奈良県政における適切な措置を行なわれるとともに、国および関係機関に対する強力な働きかけを行なわれるよう、要請を致します。
 一方、3年前より着手されて参りました「産・研・学」共同による「新しい配置薬奈良ブランド医薬品」も国の承認審査を経て、完成に近いと聞いております。これが普及対策のために「中小企業活路開拓事業委員会」を発足されたようであります。奈良薬業界活性化に繋げるよう格段の県政支援が必要であります。その販売推進対策として、どのような施策を考えておられるか、知事に所見をお尋ねします。

D 土木建築について
(1)建築

 いま、耐震強度偽装事件、いわゆる建築確認業務が問題となっています。これは「官でできることは民でできない筈がない」という構造改革・民営化強行の弊害がもたらしたものであるといえます。特定の公益事業には、民営化への移行がかえって社会的不利益を生むものであることの表れだともいえましょう。
 「官の業務」には、本来的には利益・利潤を度外視し、公益のみを追い求める公正さと厳正さが課せられています。これに対して「民の業務」は、あくまでも利益・利潤の追求を目的としており、公益性の追求には一定の限界があります。
 1998年の建築基準法の改定によって、「規制緩和・民営化推進」の名のもとに「建築確認業務」が官から民に移行。急激に建築業界の影響下に「建築確認業務」が民間包括されることになりました。
 ビジネスの世界、業者間の料金や審査の柔軟性、キックバックの競い合いが生じ、職業倫理を衰えさせる現象が広がってきたといわれています。
 奈良県にあっては5年前、県(500万円)と、奈良・橿原・生駒の三市(300万円)、その他、社団法人等の出資による財団として「なら建築住宅センター」が設置をされました。
 当初、基本財産は、1500万円のうち県は3分の1の出資比率であったものが、1500万円増資により3000万円となり、県の出資比率は6分の1と低くなっています。つまり県は、出資しながら監査権を持たない機能になってしまいました。
 昨年の暮れ、12月28日の朝日新聞は、この「なら建築住宅センター」についての疑問を投げかける記事を掲載しました。指定確認検査機関としての機能が不充分だということ。また、これは「官」なのか「民」なのか、あるいは「第三セクター・半官半民」なのか。そして、その管理運営についてどのような機能を持っているのか。また、他の民間の指定確認検査機関と比べての実績や評価は如何かお尋ねしたい。
(2)公共事業
 昨年、県建設業協会等からの要請をうけて、「公共工事の受注機会の拡大確保等に関する請願」は、昨年9月議会において採択されました。この改善策は進められていると存じます。大手ゼネコンに重心を置いた公共工事の発注を改め、県内業者の育成、県内中堅業者にウエイトを置いた発注に切り替えられたい。知事の所見をお聞きしたい。
 また、京奈和自動車道路の大和北道路のコースが決まり、ひとつ前進。四月には大和区間五條道路の供用になること嬉しい。ついては、御所区間の用地確保72%、文化財発掘も始まったと聞く、新年度の計画と予算は如何かお尋ねしておきたい。
 なお財政不如意であります。「公共事業のやりすぎ」という都市的世論がつくられていますが、奈良県は過疎地域であり他府県と比べれば「やりすぎ論」は当を得ない。もっと頑張った公共事業の推進を期待したい。

E 産業廃棄物対策について
 柿本知事は昨年、私の質問に対し、「産業廃棄物の減量化、再生、再利用の推進とともに、今後の循環型社会形成のために、公共関与による産業廃棄物処理施設の設置は重要課題であるという考え方の上に立ち、県内の処理状況、先進県の事業実施および処理技術の動向等の調査・研究を行なう。また公共関与する場合であっても、地元住民の理解に基づく用地選定が最重要な課題であり、平成15年度に県内自治体に対しても用地選定適地情報の提供を求めた」とお答えになった。
 しかし、この知事のお答えは建て前論だけの態度であって、心底、真剣に対応されようとするものでないと私は感じていますが、私の指摘は言い過ぎでしょうか。
 この産廃処分場施設課題は、容易ではない程に難題がつきまといます。そこで、産業廃棄物税の還流交付は、廃棄物処分場設置地域における種々なる心情を汲み取ることによって、次なる対応策に通じさせるためでもあります。処分場の周辺住民への配慮措置のために苦衷する関係自治体への産廃税の還流交付は、極めて意義深いものであります。重ねて強く要請します。

F 介護保険制度の改正について
今年4月から、改正された介護保険制度がスタートしますが、今回の改正では介護予防と地域密着型の新たなサービスが導入され、1月26日に厚生労働省から示された介護報酬の改定案は、在宅の中重度者には手厚いものになっていますが、今までの在宅介護の大きな部分を占めていた要支援と要介護1の軽度者には、月単位の定額制の介護予防サービスの利用となり、本当に支援が必要な人に必要なサービスが提供されないのではないか、
介護予防サービスを行なう事業者や人材がどれだけ育っているのか等、事業実施に向けての課題は山積していると思いますが、こうした軽度者に対する予防マネジメントを担当する今回の改正の柱でもある地域包括支援センターが十分機能するのか、県行政の見解は如何なものでしょうか。
今回の法改正では、市町村が「日常生活圏域」を設定して介護保険事業計画をつくり、地域包括支援センターには、一人一人の状況に応じ、地域のサービスを組み合わせる調整者としての役割が求められます。具体的には、自立者を対象にした介護予防事業、地域の高齢者の総合相談・支援、権利擁護事業、ケアマネージャーの支援、そして、介護保険事業としての軽度者を対象にした予防給付のケアプランの策定が行なわれることになります。
しかし、今回の改正で要介護者を対象にした居宅介護支援の標準件数が35件とされ、予防給付のケアプランの報酬も低いため、地域包括支援センターが外部の居宅介護支援の事業所に予防プランの策定を委託しようとしても、なかなか協力が得られないということが言われています。このことについて、現在の状況は如何かお尋ねしたい。
また、地域包括支援センターが機能するには、運営協議会が機能を発揮せねばなりません。特に、さまざまな地域資源の開発とネットワーク化という機能を発揮して、地域コミュニティーの再生を地域福祉の向上へと結びつけるには、県の地域福祉支援計画と市町村での地域福祉計画の具体的推進が鍵となります。
いま、「長屋の福祉」という言葉がよく使われていますが、どんな生活困難者も包みこんで支えあえる地域社会をつくるため、地域福祉計画の現在の状況は如何かお尋ねしたい。

G 人権行政の推進について
奈良県における人権行政の推進について、お尋ねします。
 まず、先の12月定例議会において、「人権侵害救済法の早期制定を求める意見書」を採択いただきましたこと、あらためて感謝を申し上げます。
私が理事長を務めております、水平社博物館の来館者が昨年末、18万人を突破しました。ホームページへのアクセス数も24万件を超えました。多くの皆さまのお陰であり、この場をお借りしてお礼と感謝申し上げます。いま、水平社博物館では、3月26日まで企画展「琉球・沖縄〜ウチナーンチュの歩み」を開催しております。戦後60年の企画として、歴史と現在の沖縄を取り巻く現状にスポットを当てています。議員・理事者・行政関係者各位におかれましても、ぜひこの機会にご来館いただければ幸いに存じます。
昨年、鳥取県での9月議会において、人権侵害が多発するなか、これを救済するため、議員提案により全国初の人権条例「鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例」が制定されました。国において法制化のメドが立たない中、地方から独自の人権救済制度を設け、迅速できめ細かな人権侵害の救済につなげようとする鳥取県の取り組みにエールを送っております。
 しかし一方で、これに「反対」のキャンペーンを行なう人々が存在し、片山知事はこのほど「期限を定めず施行を凍結する」方針を示されました。反対を表明しているグループは、インターネット等で「鳥取県産品の不買運動をする」「鳥取県には行かない」などのキャンペーンをはり、県行政に相当な圧力をかけているようであります。
こうしたグループの主張は、基本的には昨年通常国会において、政府の「人権擁護法案」提出に反対したグループの主張と同質であり、極めて悪質で意図的な反対運動であります。背後には、「人権委員会が特定団体に牛耳られたらどうする」「人権擁護委員には国籍条項が必要」などと、愚にもつかない主張をする国権主義・排外主義の動きを感じます。
 そもそも、人権救済制度が求められるのは、いうまでもなく私たちの周りで日常的に差別や人権侵害が繰り返されている現実があるからであります。
 奈良地方法務局の集計によりますと、昨年度の人権侵犯事件として捉えた件数は276件、人権相談を受けた件数は4214件となっており、いずれも増加してきております。
 とりわけ、同和問題に注目をして、奈良県内の状況を見てみますと、2004年に橿原市が行なった人権意識調査では、約7割もの人が、同和地区の人との結婚について「差別がある」と答えています。
 一昨年来、京都・兵庫・大阪の行政書士が職権を利用して自治体から戸籍謄本や住民票を不正に入手、それらを興信所に売り、身元調査に使われるという極めて悪質な事件が発覚しております。なお、またまた新たに30年前を思い起こす「部落地名総鑑」が再現しました。全国の被差別部落について、地名や所在地などを詳細に記載しています。怒りがこみ上げています。
背景には依然として結婚や就職等に際して「部落かどうか調べてほしい」という依頼が根強く存在するからであります。私たちの調べでは、奈良県においても関連する3人の行政書士から24市町村82件の職務上請求があったことが判明しております。
そこで知事にお尋ねします。とりわけ司法書士や行政書士による職権を悪用した悪質な差別事件について、どのようなご見解かを尋ねたい。
 このような差別の現実に対して、国の対応の遅れは「立法・行政の不作為」だと批判したい。鳥取県の先進的な取り組みに遅れをとらず、奈良県こそが人権政策の先進性を発揮し、具体的な人権救済制度の制定のため、県議会のご協力をいただきながら、今ある「人権条例」をより措置効果を高める条例に改正、制定を願う次第であります。
 昨年、奈良県は「人権相談ネットワーク」を立ち上げられました。これまでの私どもの提案に積極的に応えていただいたものと評価しています。このネットワーク、特に、人権相談に対応する相談員の養成・確保、相談機関との連携や相談対応メンバーが広がる推進体制を期待します。また、これまで「インターネットプロジェクト」等に取り組んできた「啓発連協」では、今後、テレビ電話を使った人権相談をスタートさせるということです。
こうした新しい取り組みへの支援や、すでに活動がなされている「エセ同和高額図書お断り110番ネットワーク」との連携になる積極的な方向を示していただきたい。知事の所見をお伺いします。

H 教育について
(1)実習授業と教育啓発

 幼少期・少年期の環境や教育の機会による、人生の幸・不幸への影響は極めて大きい。生産の伴なわない、カネ・カネ・金がすべてのホリエモン型人間や、働くことをしない「ニート」といわれる人たちが今後も増えつづけるならば、「日本の将来、大いに不安である」と言わねばなりません。
 先般テレビで、「親の甘い子育てに原因あり。成人しながら勤労・納税の義務を背負わぬニート族の責めとして『ニート族税』を親に代償納税をさせては如何か」というトークがありました。それはともかくとして、学校教育に積極的な労働・勤労の基礎的実習授業の経験を採り入れられるよう望みながら教育長にお尋ねしたい。
 私がよく通る道路脇に、橿原市の新沢小学校の「学習田」があります。田植え、草取り、稲刈りなどの作業を見ました。また、いくつかの学校において、収穫米を食糧難にあえぐ国に送るというお話も聞きました。勤労、平和、国際友誼たのもしい姿であります。このような取り組みを県として奨励すべきであり、全県的実情をお聞きしたい。
 また、学校の夏休み期間を利用した多様な作文やポスター・デザイン画などの学習奨励としての企画募集がなされていますが、これに対する応募指導は学校および担当教職員の熱意・関心・趣味およびスポーツ等の関係もあり、差異があるようであります。防災・人権・環境緑化・納税・地域産業などの課題に積極的に作品を通して子どもらにかかわらせる教育こそ、実践の伴なう人生の身につく研修であり、あまねく課題の啓発活動であり、郷土愛・人間愛の基礎づくりに連なると存じますが如何でしょうか。教育長の教育観と実践・実態をお聞きしたい。
(2)教育とスポーツ
 なおまた、少子化による学校規模縮小のため、多様なスポーツ種目のチームづくりが難しく、複数校によるチーム編成などの対応がなされていると聞きます。これらの部活動に、どれ程の教職員が指導参画されているのかお伺いしたい。
 スポーツの基本は、走る・飛ぶ・跳ねる・伸ばす等、いわゆる足腰を鍛えることであろうと私は思っています。その基本動作のための初度施設や道具として、かつては、鉄棒や砂場・跳び箱・マット・綱などが少なくともすべての学校に備えられていました。
今日的には如何か。野球・サッカーなどの人気スポーツのみに目が向き、身近に設備されねばならない初度設備が忘れられているのではないか。県内学校の遊具・施設等の設備状況は如何かお伺いしたい。
 特に砂場は、飛ぶだけではなく相撲道場がわりにも役立ちます。今日、国技(相撲・柔道)においても国際化が進んでおり、こだわる時代ではないという考えはあるが、日本の伝統はやはり大事にしてもらいたい。

I 犯罪と青少年対策などについて
(1)娯楽番組と犯罪

 かつて、日本は世界一安全な国、治安のよい国として広く知られておりました。しかしながら近年、みなさんご承知のように犯罪の悪質化・凶悪化が顕著であります。連日連夜つたえられる事件報道を見るにつけ、今やこの国は、いつ、どこで殺傷の災難や不幸に遭遇するや判らぬ世界で最も危険・不安な国になぞらえられているように思えてなりません。
 わが奈良における1年前の小学生誘拐殺人事件。さかのぼって月ヶ瀬における少女殺人事件を思い起こしながら考えます。テレビでの「サスペンス劇場」「ミステリー劇場」は、毎日放映。「土曜ワイド劇場」や女性刑事ドラマ「アンフェア」、その他にも「相棒」「はぐれ刑事」「京都迷宮案内」など殺人犯罪がストーリーになっている番組が極めて頻繁に放送されております。1週間に25本前後、1ヶ月では実に約100本の殺人ドラマが放映されております。
いっとき「ギフト」というドラマで、木村拓哉演じる主人公がサバイバルナイフを身につけていたことで、そのナイフが飛ぶように売れたことがありました。これらの娯楽番組が殺人犯罪を娯楽に錯覚させ、殺人誘発に大きな影響を及ぼしているのではないかと私は見ています。凶悪犯罪多発など勘案し、青少年問題懇話会など6団体でも青少年に及ぼす悪影響を懸念し、残虐なゲームソフト類の製造・販売の自粛をメーカーに申し入れされました。
 かねがね、犯罪防止に御苦心・御尽力をいただき、有害図書の規制などにも地域社会と連携されるなど対策の効果もあり、刑法犯認知の減少が報じられています。わが県における昨年一年間の認知件数は、前年比2577件減の2万1365件でありますが、これをゼロ件にまで減らしたいという願いが、お互い私どもの願いである筈です。公安委員長の所見をお伺いしたい。また、教育啓発の立場から教育委員長も如何でしょうか。
(2)警察安全相談
 犯罪立件として取締り措置の難しい人権侵害にかかわる事象が多種多様な形で起こっています。差別言辞による威圧。差別を双方ともネタに仕合ったケンカ。エセ同和出版物の押し売り行為の相談事例や、クーリング・オフなどの附随する問題であります。法令違反の司法取締りは警察官の職務基本ゆえ、これらの相談事例に適切な対応をなされていると思いますが、倫理上放置できぬ人権意識や人権侵害にかかわる事例の対応を如何になされているのか警察本部長にお尋ねしたい。
(3)少年補導条例
 仮称「奈良県少年補導条例(案)」に反対する奈良弁護士会の会長声明が送付されてきました。
 趣旨を理解し、趣旨に沿った対応を求められています。少年の社会生活の現状・現象を如何に把握し、その背景にあるものをどのように捉えるかという弁護士会長の提起であろうと私は見ています。現象を理性的に、あるいは性善説的心情(孔子の説く五常、5つの徳「仁・義・礼・智・信」)で捉えたいという一面と、つい直情的嫌悪感から性急に走ってしまうという一面とに常に葛藤する私であります。
少年非行と社会不安は対立矛盾の社会の不幸な現象であります。少年を救い、社会不安をなくすべき心情と対応に苦慮する人々は社会の大勢を占めています。
さて、弁護士会長曰く、「警察の権限の拡大は適切な手段ではない。少年犯罪防止のために大人に求められていることは、悩みやストレスを早期に正面から受け止め、一人ひとりの子どもの尊厳を確保し、その力を引き出すことであり、学校・地域社会・福祉機関・医療機関・保健所などは、子どもに対する人権侵害を見逃さず、関係機関との連携を強めて対処すべき」との提言であります。「『不良行為』に該当するとして、少年に対する指導が権力的・画一的であっては、少年を真の更生に導くことができません。なおキメ細やかな対話・ケアこそが大切」と提起されています。
 弁護士会長はさらに、「地域住民に対し『不良行為を通報』するよう責務を法定化するのは如何なものか。県条例は制定権の範囲を超える等々、警察比例の原則に反するというものであり、必要なのは教育・福祉的施策である」と強調され、これら施策の一層の強化が訴えられています。柿本知事は、この奈良県少年補導にかかわる弁護士会長声明に対しての所見は如何かお伺いします。
以上で質問を終わります。

 

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