<< 2010年5月県議会での代表質問の主な内容 >>

 (はじめに)
 おおよそ物事には評価(期待)と批判(危惧)はつきものであります。来年4月、知事選挙、県議会議員選挙などの統一地方選挙を10ヶ月後に控えて、県民の県政にかかわる関心事も多様であります。県政の継続性、その責任の継続から回顧する必要もあるかと考えます。

@ 県政の評価と課題について

 私は県議会に席をいただいてから32年目を迎えています。この間、4人の知事さんとの関係を経験させて頂きました。
 それぞれ”時勢”を背景とした展望をもっての経済、文化、人口の動向などニーズを捉えた政策がたてられ推進されてまいりました。すぐに評価されるもの、後年にやっと評価されるものありですが、奥田知事は「一隅を照らす」として、上田知事は「保存と開発」、柿本知事は「遊のある県づくり」、そして現在、荒井知事による「新都づくり」であります。

 所得倍増計画時代を思い出します。新生活運動の提唱あり、貧しき戦後日本の復興をめざすべき地方自治体としての総合計画に着手されたこと。水資源確保(大滝ダムなど)と上・下水道対策、医科大学と附属病院設置、学校の増設などの人口急増対策、そして高度成長期に乗じたシルクロード博の開催。奈良県道路網半日圏計画の推進、しかし、バブル崩壊の苦境。失われた世情の回復に向うべき対策の今日的諸施策であります。生徒数激減による廃校施設や老朽公営施設の改廃等は今日速やかに措置されねばならない課題であり、医療・福祉にかかわる対応も急を要する今日的課題です。

 いま大きなイベントとして開催中の平城遷都1300年祭は、柿本知事から荒井知事にバトンタッチされて、荒井知事自身によるその計画内容の組み立て直しにより、この1年、通年事業化として取り組まれています。広いご協力を得て、極めて順調にイベントは盛況の様子であり、嬉しいことであります。この成果といえば、いわゆる「古の都奈良」を「新しい都奈良」として愛着されることにあり、奈良県勢の活気元気につながることを期待するものであります。

 さて、荒井知事に向けられる県民の関心事は様々ありましょうが、同じく私にも向けられ問われている関心事でもあります。その課題への対応の注文を申し上げます。

 一つは評価・期待としての「南部振興局の設置」を意図されていることであります。私ども南部振興議員連盟としても県内南北格差の是正という対策として大歓迎であり、とりわけ管内市町村長の喜びも同様であることが伝えられていますが、この南部振興局についてどのように実現されるのか、現在の検討状況をお伺いします。

 もう一つは批判・危惧であります「医科大学の高山地区への移転」(案)であります。まだ諸般の事情あり検討考慮中といえども、中南和、否、県民の大多数の大関心事であることには違いありません。奈良医大と附属病院の設置にかかわる経緯と意義、とりわけ医科大学と附属病院との連結性や医師の養成と中南和地域の拠点病院としての総合的な役割を捉えて頂きたく、現在も将来的にも現在地を核として、高度な先端医療や重症な救急患者に対応した救命救急センターが整備された附属病院と医科大学の教育研究部門を整備充実して頂きたいと願いますが、知事の所見をお伺いします。

 

 

A 過疎対策・南部振興と京奈和自動車道に関連して


 平成21年の奈良県統計は、老年人口指数は、県北部は高齢化が若干進んでいるが、まだ生産年齢人口比率は高い。しかし県南部と東部は老年人口指数が55%を超えている地域が多数占めていると示しています。
 平地と山地による生活環境の違いによるものであるが、この県内の極端に二極化された人口と年齢層の動態は、地域経済、生活上の格差につながっています。これら格差是正のため、平準化対策への努力が肝要として、すでに県政がめざす姿の中にも、「奈良を訪れ、奈良で暮らし、働く」方向の環境づくりと共に、とりわけ過疎化対策として南部振興局設置などに向け、この課題に動き出して頂いています。一層拍車をかけた具体策を要望する次第であります。
 
 私のふるさと・御所市も過疎化傾向にあり、とくに京奈和自動車道の供用により、人々の移動の態様が変化することの想定に立ち要望します。橿原南・御所インターチェンジ周辺の「産業集積地としての促進」、そのための「企業誘致に向けての条件提供」、御所東高校跡地の活用の方途など、具体的な事業の方針は明確になっていないものもあると思いますが、これらを新しい源流と根幹に位置づけられ、その推進体制と多様な促進を引き続きお願いする次第であります。また、御所市財政再建支援にかかわる9億5,000万円の無利子貸与など、対策予算の計上に感謝申し上げる次第であります。これらを含め南部を元気にするためにどのような取組を進めていかれるのかお伺いします。

 さらに、道州制・関西広域連合の呼び掛けなど、今日的課題のメインテーマの如きキャンペーンを耳にしますが、大阪や神戸を核にしたパフォーマンス的な活性化論には、私は同調できません。グローバル・アンド・ローカル、つまりはグローカリズムの視点は欠かせないとしても、いまはローカル・ローカル、奈良県そして南和と御所を基点に県の地域づくりの伸展を願っていますが、知事の所見をお伺いします。

 京奈和自動車道を核とする様々な活性化方策を過疎化対策、県の南北格差是正の各種施策の基幹として位置づけることにより、定住人口、交流人口の増加につながることを期待しています。そこで、京奈和自動車道に関連して知事に2点お伺いします。
 京奈和自動車道は、何と言っても奈良県中南和の活性化の起爆剤で、まさに、中南和地域振興の牽引役を期待されています。その供用により、人々の移動の動態が変化し、さらに、五條まで繋がることで大きな効果をもたらします。
 現在、御所区間の工事が鋭意進められていますが、トンネル区間を含め、現在の進捗状況をお尋ねします。

 また、この京奈和自動車道の路線のうちに、県内唯一計画されていたサービスエリアはどのようになっているのか。無料道路なので、パーキングエリアと呼んでいるという話も聞きましたが、御所南インターチェンジのサービスエリア実現に向け、どの様に取り組んでいるのかお尋ねします。
 奈良県中南和の観光ならびに地域産業振興の情報発信拠点としてのインターチェンジとサービスエリア、全国からの来訪者にこの地の素晴らしさを知ってもらいたい。ここを「サービス」と「奈良のおもてなし」の顔にしたいものであります。

 「ローカル・アンド・ローカル」を合言葉に、荒井知事をはじめ、青森、山形、石川、山梨、長野、福井、鳥取、島根、高知、熊本の11県知事による「自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワーク」を結成された由。そのまま訳せば、田舎と田舎ということであるが、田舎者同士が集まって、いろいろ考えようという企てならば、大いに賛同するものですが、その理念はいかなるものか。また、現在の取組状況はいかがかお教え願います。

 

B 福祉関係について


 一つ目は児童虐待です。3月3日、桜井市内で起こった児童虐待事件以降、県としても何故このような事件が起こったのか、そして、児童虐待を未然に食い止めるためにはどのような方策が必要なのかを桜井市をはじめ、県内市町村とも協議しながらその対策が検討されていると思いますが、最近の児童虐待事件を見るとき、経済的な困窮、家族の孤立、親の未熟性等が共通した要因としてあり、まさに今日の格差社会が虐待を生み出す背景としてあることが考えられます。

 二度とこうした悲劇を生み出さないためにも、国においても民法の親権規定を改正して、一時停止することが検討されていますが、県においても児童相談所の機能や権限を強化するとともに、虐待死する児童の多くが学校に上がる前の児童であることを考え、地域においても未就園児童や健康診断未受診児童へのきめ細かな対応等が必要と考えるが、県としての考えは如何でしょうか。

 二つ目は高齢者福祉についてであります。法務省の「犯罪白書」によれば、交通関係を除く一般刑法犯で検挙された高齢者は、2008年で48,000人になり、20年前の5倍になっています。白書は高齢者の孤立感や経済的な不安が犯罪の背景にあると指摘していますが、高齢者が被害者になるケースも増えており、介護殺人や介護心中といった事件も残念ながら後を絶ちません。ある介護殺人を紹介しようと思います。
 
 その事件は一昨年8月に広島県福山市で起こりました。当時の新聞の見出しは「85歳母、窓から落とし殺害、容疑の長女逮捕」と報道されています。新聞報道によると、腕の骨を折って入院中の認知症の母が、ギブスを嫌がって外すため、付き添っていた長女が病院に迷惑をかけるのが耐えられず、3階の病室の窓から抱えあげて7メートル下に落として殺害し、自分も死のうと思い、直後に飛び降り自殺を図った、というものです。
 新聞記事だけを見ると、「なんという娘か、自分の母親を殺すなんて」ということだけで片付けられがちな事件でしょうが、福山市のような介護殺人に至らなくても、認知症の家族を持つ人たちから同じようなケースを相談されることがよくあります。
 
 認知症の人が病気やけが等で一般病院に入院したとき、点滴を外してしまったり、ベッドから這い出ようとしたりして、片時も目が離せないというのです。仕事や健康上の理由で家族が付き添いできないとなると、例えば家政婦紹介所に病院の付き添いをお願いしたら、日中は8時間で9,000円位が相場で、夜間は10,000円を超えるとのことです。もし手術になったり、入院が長期にわたったりすると、いまの介護保険を柱とする公的な介護サービスには、病院内の介護についてのメニューがない中で、家族には物心両面にわたっての大変な負担がのしかかってくるのが現実です。 

 認知症の人が一般病院入院時に、ホームヘルパーの付き添いを介護保険の対象とするなど、認知症の人の家族の負担を軽減し、安心して介護を受けられる環境を整備することが必要と考えますが、見解を示して頂きたい。先の福山市の場合も、実の母親を病室の窓から落とした長女は、10数年間、家事と介護で母親宅に通っていたとのことで、そうした必死に身内の介護をしている人を苦しめ、時には殺人へと追い込んでしまう事態は今後生んではならないでしょう。

 三つ目は障害福祉関係です。障害者自立支援法が廃止と成り、新たな法律をつくるために、国においてもその作業が始められ、障害福祉サービスの利用者負担についても、低所得層を中心に改善が図られてきたところです。しかし、市町村によってはサービスを提供する事業所が少なく、県内でも大きな格差が存在しています。
障害福祉サービスを提供する事業所が少ない地域では、通所系の日中サービスを提供する介護保険の事業所が、障害者の生活介護や児童デイサービス等のサービスを提供できる基準該当サービスが市町村でも広がっていくことが必要だと考えますが如何でしょう。

 四つ目は福祉職員の処遇改善についてです。厚生労働省は介護職員の月給を平均15,000円引き上げることを目的に、介護職員処遇改善交付金を昨年10月の介護報酬分にさかのぼって実施しているが、県内の事業所の申請状況は如何か。すべての事業所に申請を行うよう県の担当課が個々の事業所に電話を入れて申請をうながした県もあるかと聞いていますが、奈良県内の事業所の申請状況についてお伺いしたい。以上、福祉関係の4点について知事に答弁をお願いします。

 

 

C 戸籍・住民票の不正取得防止策について(人権侵害救済のために)


 差別落書きや投書、電話、インターネット上での差別書き込みなどあいも変わらず全国で頻発しています。インターネットでのグーグル社オンライン地図サービス(ストリートビュー)は、重大なプライバシー侵害ですし、また不動産業者等による土地差別調査事件など、依然として差別事象、人権侵害事件が存在することを踏まえながら、戸籍・住民票の不正取得問題、具体的には委任状を偽造しての不正取得の根絶策について伺います。

 この事案は、平成19年の戸籍法・住民基本台帳法の一部改正、つまりは写し等の請求出来る場合の要件強化がなされて以降、逆に顕著となってきた問題なのですが、以前にはいわゆる八業士、すなわち弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、そして行政書士ですが、職務上請求用紙を興信所・探偵社に横流しする等して、本人のまったくあずかり知らない内に、戸籍・住民票等を不当に取得していたという問題の、新バージョンともいえるものです。

 八業士による不正取得が困難となるや否や、今度は委任状を偽造して、半ば公然と、さも本人からの請求があったように見せかけた上で、それを市役所等の窓口に提出して、他人の戸籍や住民票を、本人がまったくあずかり知らない間に取得するというものです。用途は明らかで、就職や結婚の際の部落民(同和地区)排除等々のために、それを利用しようというものです。

 そこで質問です。この間、部落解放同盟奈良県連合会が市長会や町村会、ならびに県内の各市町村長宛、さらには奈良県戸籍住民事務協議会長宛に要望書として提出していますが、かかる不正取得の有力な防止策として、事前に登録した人物を対象にその当人名の戸籍ないし住民票を第三者に交付した際に、その旨を通知する本人通知制度の一日も早い導入が必要なのです。それも、各市町村ばらばらではなく、県下一斉にこの本人通知制度を導入することができるようにしていくことが大切です。

 県にあってもこれまで市町村振興課を中心として取り組んで頂き、5月18日付けで各市町村宛に、全国的な取り組みや注意喚起を文書で促していただいているようですが、なお、この登録制の本人通知制度の導入はすでに埼玉では全市町村で実施に入っており、大阪府知事の音頭で、大阪府下にも広がっています。他府県へも拡大しつつあることを申し添えておきます。事の実現のために、先ずは奈良県においても知事が音頭を取っていただくこともまた、必要だと思っております。事は個人情報保護の問題ともかかわる問題でもあり、知事のご所見をお伺いします。

 

Copyright (C) 2006 S.KAWAGUCHI. All Rights Reserved.