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県政報告KENSEI-HOUKOKU

2014年2月議会一般質問

はじめに

ソチオリンピックのスノーボード・ハーフパイプ競技で、雪国でないこの奈良県 の御所市出身、18歳の平岡卓選手が銅メダルに輝いたこと、誠に感激、うれしいことでございました。荒井知事は早速、奈良県スポーツ特別功労賞を平岡卓選 手に贈られました。私は、地元御所市民として感謝を申し上げる次第です。今夜 未明から始まります平和の祭典パラリンピックの出場選手の健闘を、皆さんとともに祈りたいと存じます。一昨年の紀伊半島大水害からの復旧・復興に対する集中的な取り組みと、災害に 強い奈良県をつくるため、防災力向上への取り組み、さらに中和・南和・東和地 域を含めた南部振興策に積極的な県政の取り組みに深謝を申し上げます。昨年11月、知事をはじめ各部長の出席をいただき、私ども南部振興議員連盟のメンバ ー、そして管内の市町村長・議長と、農林・商工・観光・薬業団体の代表が出席 しての南部振興議員連盟懇談会で提起を申し上げました要望の具現化を、まずはお願い申し上げておきたいと思います。

 

1.京奈和自動車道大和御所道路について

続いて、京奈和自動車道大和御所道路に関連して、いくつか質問なり要望をさせていただきます。
京奈和自動車道御所インターチェンジは一昨年春に供用開始され、現在は御所インターチェンジから御所南インターチェンジの間や御所市と五條市を貫くトンネル工事などが進められています。
御所南インターチェンジは県内の京奈和道では、唯一、休憩施設の併設を計画され、まとまった用地は買収済みであります。ドライバーの生理的欲求を満たし、連続高速走行の疲労と緊張を解きほぐし、あるいは自動車に対する給油給水や適宜の整備点検の必要性を満足させるための施設と位置づけされたものです。地権者の方も休憩施設のできるということで道路本線以外の土地の買収に協力されました。
しかし、聞くところによりますと、その計画が二転三転して、国交省のほうでは休憩施設として買収済みの用地を地元御所市で買い上げてもらいたいという、とんでもない話が私の耳に入りました。このサービスエリア休憩施設は、県内の京奈和自動車道では唯一の施設であり、御所南インターチェンジは地元御所市はもちろん奈良県南部にとっても貴重な玄関口です。
地元御所市は、一般道からも上り下りのインターチェンジにスムーズに進入できるサービスエリアの実現に向け、国交省に強く要望しております。県も既に積極的に関わっていただいていますが、今後も、更に積極的に関わっていただき、地元の期待に応えられるよう、当初の計画どおり、サービスエリアの実現に向け、よろしく支援・援助をお願いしたい。
さて、京奈和自動車道大和御所道路の御所南インターチェンジから南へ巨勢山トンネルまでの850m間は、橋梁ではなく高さ10m、横地幅100mの大量の土盛りの上に道路が計画されております。そのため、市道で結ばれていた御所市の「條」地域と「室」地域が東西に分断されます。
国交省では、土盛りの中にトンネルを造って東西を結ぶ市道を確保されるようでありますが、計画は4m幅のトンネル道のようであり、これでは狭い。
御所市の「條」地域には「ウル神古墳」、「室」地域には「宮山古墳」がございます。それを結ぶ東西の市道は古墳散策道路として落ち着いた昔ながらの集落を結ぶ道路として景観美のすばらしい安心して通行できる道路であります。古代ロマンを壊さぬようにと地元では、4m幅ではなく広い歩道を設置して欲しいと要望しております。
最近、地元御所市が国交省と要請交渉した折に、すでに設計が出来ているし、発注間近なので経費増については御所市の負担と国交省から話があったと伝わってきました。私の聞き間違いならいいのですが、京奈和自動車道に関連しないトンネル外の市道部分ならともかく、これもとんでもない話です。
いったん作ってしまえば手直しは出来ません。御所の田舎の素朴な県民の要望であります。
積極的に国交省へ働きかけて頂き地元の要望を実現していただきたい。
知事の所見をお伺いいたします。

 

2.御所インターチェンジ周辺における産業集積地の早期完成に向けて

次に、現在進めておられる京奈和自動車道御所インターチェンジ周辺の産業集積地形成事業について、知事の積極的な肝いりに感謝申しあげながらお尋ねいたします。
この事業につきましては、現在、土地等にかかる権利者90名の方から同意を得られたと聞いております。これはひとえに、県の担当次長をはじめ、担当職員が何回も直接地元に足を運ばれ、御所市の職員共々、粘り強い交渉を重ねられ、地権者や地元の理解を得られたものと思っております。そのことに対しまして深く敬意と感謝を申しあげておきます。
御所インターチェンジ付近は、県南部、中部の通勤圏内であり、この地で就業の場を確保することは、若年層を中心とした人口流出の阻止、Uターン、Iターンの促進に寄与いたします。
県の南部振興計画の大きな施策として位置づけをされ、また私の記憶では、県と市の協働による産業用地の造成ということも県下初めてのことであり、他の市町村もまちづくりの参考とされると存じます。
私といたしましては、これまでの県の努力に感謝しつつ、測量、調査、造成工事に事業着手され、1日も早い完成を願うものでございます。
また、このたびの産業集積地に隣接して御所東高校跡地がございます。御所市はもともと教育のまちといわれ、地元あげての高校誘致にあたっては、校舎用地のほとんどが地元の方からの寄附提供によるものでした。現在、高校再編成により廃校となり、当所の目的は無くなっておりますが、この跡地を産業集積地形成事業に連動させ含めれば、県南部の活性化に貢献できるものとなり、寄附された方々の理解も得られると思います。
知事に要望を申しあげ、お尋ねしたいことは、京奈和自動車道御所インターチェンジ周辺の産業集積地形成事業の完成に向けて、企業誘致を含め、今後どのように取り組まれるのか、また、隣接する御所東高校跡地も産業集積地の形成に含めるべきと考えますが、どのようなお考えなのかをお尋ねする次第です。

 

3.産業振興と教育の役割について

ふるさと、地方の歴史・伝統の文化や産業にかかわる教育の実情と役割についてお尋ねと要望をしたいと存じます。
何事も原点・基点をおろそかにしては発展はないというのが昔からの訓えだと私は思っています。まず、「道に迷ったときには来た道を戻り直せ」ということ。ふるさと先祖はどんな生き方、何を糧に生きてきたかということであります。農林業、あるいは手作りものづくり産業を基盤としたものであり、その先祖の遺産と両親の愛情、ふるさとの育みによって皆は成長したものであります。それを忘れてふるさと両親から遠ざかっての生活。如何に経済構造の変化によるものであるとしても、この侭では世情は悪しきものと化すでしょう。
格差拡大の社会を克服するための一つの方策。それは地産地消の奨励だと思っています。また、子供たちの発達段階に照合した、ふるさとの伝統文化や農業産業にかかわる体験であります。すすめられている県施策に教育委員会関与の積極化を敢えて尋ね要望します。
その一つは、県は早くから子供たちに食と農に対する理解を深めさせ、さらには将来の農業の担い手確保を期待、「子供たちの米づくり」を奨励。あわせ国連「国際コメ年」の趣旨を継続させ、収穫されたコメをアフリカなど食料不足国へ贈り、国際友好親善交流を促す意義をもって、農林部では「米づくり体験モデル事業」を行っています。私はこの施策を評価してきました。
けだし、この農業体験学習を取り入れている学校は毎年3小学校。体験学校数は総じて15校であります。この実情だけを見て教育委員会の農業にかかわる教育の姿は評論できないと存じますが、さりとてこれで良いのでしょうかと批判せざるを得ません。
また、その一つとして県は御所市に支援助成して地場産業振興のヘップサンダル履物コンテスト/デザイン展を奨励しています。昨秋は第26回を数え、そのテーマを「インフニット・ポッシビリティー(無限の可能性)として、社会や人びとの生活環境がプラス方向にもマイナス方向にも右往左往しながら急速な変化を遂げつつある昨今、地場産業を通して振興活路と明るい兆しを期待。且つ輝かしい未明の構築を目指して」として応募。ふるさとの産業についての認識を深める意義を強調して地元と近隣の中学校並びに高校。さらには全国の専門学校に応募を求めてきました。応募点数は中学校21校、一昨年875点・昨年583点。
高校は公立の青翔、御所実業、畝傍、郡山と私立の橿原学院、奈良育英の6校で一昨年は81点、昨年は142点。県外からも彦根総合高校の一校から応募あり、一昨年45点、昨年26点。専門学校は広く、東京、名古屋、大阪のモード学院や県内合わせて10校から一昨年は118点、昨年は224点で総応募点数は一昨年1,119点、昨年は975点の協力応募がありました。
要望したいことは、御所を基盤としたこのサンダル業界の奈良県は、全国シェアの20%をもつ産地であります。このサンダルデザインコンテストはデザイナーのむしろ登竜門との評価もあり、産業振興、美術奨励と教育の役割を定着させたいものであります。
以上二つの例を挙げたように、子どもたちが農業体験を積むことや地域の産業と関わることは重要であるとともに、産業振興に教育の果たす役割は大きいと考えます。こうしたことを踏まえ、県教育委員会として、農業に関わる体験学習、地域の産業についての学習やその担い手の育成にどのように取り組んでいるのか伺います。

 

4.NPO法人の実態(偽善)検証を!

次にNPO法人の実態に偽善は無いか、エセ行為、悪質商法対策についてお尋ねします。
医療、福祉、環境、文化、芸術、スポーツ、まちづくり、国際協力、交流、人権、平和など、あらゆる分野の社会的なサービスを提供するほか、政府・自治体や企業において扱いにくいニーズに対応する非営利な活動を自発的に行うNPOが組織されています。
また、法人認証されているNPOの数は全国で48,000団体を超えており、奈良県では496団体と聞いています。社会的貢献に個人としての想いをもったボランティア。組織としての役割を意識してのNPOの活動が大きくなることは大変うれしいことであります。
特に私は人権文化の運動に携わってきた者として、人権、福祉等の関係NPO団体に目が向きます。
私はこれまで、似て非なるいわゆる「エセ」行為によって人びとが脅かされたり、欺かれたりすることのない社会を求めてきました。”同和”をかたっての”高額図書の押し売り”、あるいは悪質類似犯といえる「送りつけ商法」「訪問購入いわゆる押し買い」「還付金詐欺」などをお断りするネットワークを広めています。
県のくらし創造部と私ども部落解放同盟が中心となり、法務局、労働局等の国の機関にも参加を願い、また多くの消費、商工、農業、医療、建築・・・等の諸団体の協力参加のもと情報交換と啓発につとめています。あわせて、これら、悪質商法対策、クーリングオフの取り組みとともに「振り込め詐欺」防止の啓発強化にも乗り出しています。ブラック企業の問題も同質であります。
私が取り組んできたことは、言い換えれば、表面的には粧いをこらした悪質な行為に対するものとの戦いであります。これらの対策の強化を望みます。
そうした取り組みをしているなか、生活スタンスにいささか首をかしげたくなる様な方から、NPO法人を肩書きにした名刺をいただくことがあります。また、昨今、NPO関係の詐欺等の犯罪がメディアに頻繁に報道されたりしています。さらに、NPO法人をかたって「送りつけ商法」などの悪質商法に手を染めている団体もあると耳にします。遺憾なことであります。そこで、今回、私が問題を提起したいことは、NPO法人という社会的信用を冠にした偽善NPOが無いとは言えないだろうということです。真面目に活動をされている一方で、そうした法人が存在することは、NPO法人全体の信用にも関わってきます。
県の認証NPO法人496法人中、事業年度終了後の実績報告が義務づけられているにもかかわらず、期限内に未提出となっている法人が100法人以上あると聞いています。有名無実NPO法人の偽りだけがまかり通ることが野放しになっていないのかどうかしっかりと検証されることを願う次第です。また、NPO法人という社会的信用を冠にした悪質商法を防止する対策も必要だと考えます。
知事の所見をお伺いします。

 

5.福祉関係/生活保護法改正と生活困窮者自立支援法成立にかかわって

最後に、福祉関係・生活保護法改正にかかわっての質問に入りたいと思います。
今日の我が国が格差社会と言われる中で、生活保護受給者は216万人を超え、2011年に過去最高を更新して以降、増加傾向が続いています。非正規雇用も全雇用労働者の37%を占め、年収200万円以下の給与所得者も100万人を超えています。最近では20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚無業者のうち、普段ずっと一人か一緒にいる人が家族以外にいないスネップといわれる孤立無業者が160万人を超え、特に20歳代の孤立無業者が増加しているといわれており、これらの様々な生活上の困難を持っている人たちへの新たな支援策は緊急の課題であります。
昨年12月、生活保護法の改正法と生活困窮者自立支援法が衆議院本会議で成立しました。両法が目指すのは生活保護費の抑制であると考えますが、まず生活保護法の改正について伺います。先日の新聞報道で、2012年度の全国の生活保護の不正受給件数が4万1,909件と過去最悪を更新したとの記事がありました。今回の法改正で不正受給対策も強化されると聞いており、生活保護制度が真に信頼に足る制度となるためには、まず不正受給はあってはならないことだと考えます。
さて、そのうえで、今回の生活保護法の改正について見ますと、保護申請の手続きが法定化されるなど、保護申請のハードルがあがるのではないかという危惧を持っています。最後のセーフティネットである生活保護制度において、申請要件が厳しくなり、県内福祉事務所において、申請者を窓口で追い返すいわゆる水際作戦が行われないような法の運用が必要だと考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に生活困窮者自立支援法について伺います。この制度は、2015年4月から実施されるもので、生活保護に至る前の段階での自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対して、自立相談支援事業や住居確保給付金の支給、その他の支援を行うもので、本県では福祉事務所を設置している12市1村と県が本制度の実施主体になります。
このうち就労その他の自立に関する相談支援を実施する自立相談支援事業は必須事業として実施を義務づけられており、その実施にあたっては、厚生労働省では、社会福祉士や相談支援業務経験者などを想定した主任相談員など3職種を設定し、2014年度から養成研修を実施する予定だと聞きます。
この制度を真に実効あるものにするためには、相談支援にあたる人材の育成や就労訓練の場を提供してくれる協力企業の確保などは重要な課題です。自治体直営という枠にこだわらず、社会福祉法人やNPO法人などとの委託連携により、真に様々な生活上の困難を持っている人たちへの支援策が機能することが必要と考えますが、県としてこの新たな制度に対してどのように取り組んでいこうとされるのか知事の所見をお伺いします。
また、この制度のもう一つの柱である、就労に必要な訓練を日常生活や社会生活自立の段階から行う就労準備支援や生活困窮家庭の子どもへの学習教室などは任意事業とされており、各自治体で実施するかどうかを判断されることになります。自治体としてはきめ細かく支援をしていこうとすれば多様なメニューが必要となり、そのための財源や人材が必要となります。
こういった就労準備支援や子どもの学習支援をどれだけの自治体で実施するのか、自治体格差が生まれはしないか危惧するものですが、併せて知事の所見をお伺いします。

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