MENU

水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2014年5月号

乗客乗員476人中、救出は174人、死者・行方不明者は300人を越える大惨事が起きた韓国・珍島沖。旅客船沈没事故から二週間、現在もダイバーが懸命になって行方不明者を捜している。 事故後の船内アナウンスは、その場にとどまるよう指示。修学旅行中だった高校生の8割近くが犠牲になった。一方で、船長をはじめ船底にいた機関士、乗組員15人全員がブリッジに避難し救出された。 安全な運航・管理体制・事故を起こしてからも含め、無責任極まりないと家族が怒り心頭。当然だ!指示に従い助けを待った子供たちの心を汲めば、家族でなくとも腸(はらわた)が煮えくり返る。身軽な高校生たちなのだから、せめて甲板や最上部への避難指示を出しておれば命は救えた。しかも外は明るい朝だ! ▼連日のニュースは、仮説も含め耳を疑う事ばかり、安全よりも金儲けが蔓延。運航する時点で問題ありの「セウォル号」は起こすべくして起した人災事故と言えよう。  航空・船舶の緊急事態を音声無線で報せる時、メーデーと3回繰り返す。フランス語で「助けに来て」を意味する国際的な緊急用符号語。 ▼今日、5月1日は、労働者の祭典メーデーでもある。権利も大事だが、その前に使命あり、働くプロとしての義務がある。生命を預かる仕事、危険と背中合わせの仕事、乗り物の部品製造や整備に携わる仕事、危険物や医薬・食品の仕事など、特に安全意識はとりわけ大事。安全確保に自信がないなら断るのもプロ。 ▼『旅客船より貨物船(セウォル号)』のオーナーや管理会社も、出航を許可している監督官庁、船長をはじめ操船担当の乗組員、全てプロ意識が怠惰低下。これら関係すべて一連の恥辱が重なり合った結果の『最大最悪の惨事』と言える。生命の尊厳に軽薄と受け止められても致し方なし。 この事故は韓国だけでなく、世界各国もどうなのか?原発事故・東日大震災を体験している日本もどうなのか? 我々も一層、安全意識の向上に勤めなければならない。

戻る