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県政報告KENSEI-HOUKOKU

2014年9月議会なら元気クラブ代表質問


はじめに

私は南部議員連盟の代表でもあり、南部地域を元気にすることを使命と考えています。

巷間言われているところの限界集落の危惧・消滅可能性をぶっ飛ばすようなことを念頭に質問しますので、知事・教育長の潔い答弁をお願いしたいと思います。

さて、紀伊半島大水害から3年が経過しました。道路はズタズタ、山は大きく崩れ、河川も河床が上がり、この被災地域はどうなるんだろうという思いでしたが、国、県、市町村が大水害からの復旧を最優先課題として取り組んでいただき、さらに住民の皆さんの頑張りもあり、復旧工事は順調に進んでいるようです。

先日の台風11号では、大水害の再来かと大変心配しましたが、復旧工事の進捗により、人命に関わるような大きな被害もなく、ほっとしたところです。

4月には十津川村の皆さんが、7月には野迫川村の皆さんが避難生活を解消され、ようやく元の生活を取り戻しつつあることを大変うれしく思っております。一方で、五條市大塔町の方は今しばらくかかるとのこと。県土木においては懸命に工事を進めてもらっているようですが、一日も早くお帰りいただけるよう、さらに奮闘してもらいたいと願う次第です。

ここで一つご紹介しておきたいのが、十津川村と北海道新十津川町との交流のことであります。明治22年の十津川大水害の3ヶ月後、二千六百人余りの被災者らが北海道に新天地を求め、計り知れない苦難と闘いながら築き上げた新十津川町では、奈良県を「母県」、十津川村を「母村」と呼び、125年経過した今もなお、深い絆により結ばれています。

3年前の紀伊半島大水害では、甚大な被害を受けた母村の十津川村に、新十津川町からいち早く職員3名が派遣されるとともに、町から5千万円の見舞い金と町民から2千万円を超える義援金が贈られたと伺っています。

また、先月20日に十津川村で行われた水害慰霊祭には、私も出席させて頂きましたが、新十津川町から植田町長と西永副議長らが自ら出席し、大水害により犠牲となられた方々の御霊に哀悼の誠を捧げられました。

こうした先祖を敬う気持ちと支援の心が継承された両町村の交流に深い感銘を受けています。

2.漢方のメッカ推進事業について

近年、超高齢社会を迎え、健康長寿とともに医療費削減の観点からも、「漢方」が大きく注目されています。漢方というと、中国の医学だと思われがちですが、実は日本の伝統医学です。漢方が日本独自の医学であるということを知っていただくためにも、私は、日頃から「漢方」、「漢方薬」とは呼ばずに、あえて「大和漢方」、「和漢薬」と呼ぶようにしています。

日本書紀における推古天皇の薬猟の記述や、正倉院に生薬が納められているなど奈良県と薬の関わりは深く、古来から薬草が栽培され、御所市、橿原市、高市郡など中南和地域における地場産業として、配置薬業発展の礎となった他府県にはない歴史的特徴があります。

奈良県の生薬は、主に南部・東部の中山間地域を中心に、農家の貴重な換金作物として生産されました。しかし、近年、安価な中国産の流入で価格低迷などにより、採算が悪化したため、生産者が減少しました。現在、国内で主に使われている生薬の使用量の8割以上を中国からの輸入に頼っていますが、その輸入価格が年々高くなっており、今後、国産生薬の需要が増加する中、県産生薬の安定供給を可能にする産地の育成が重要であると考えます。

先日、南部・東部地域振興対策特別委員会で、宇陀市の薬草農園を視察しましたが、大和トウキの栽培は除草、害虫駆除など手間がかかり、費用や収量の不確実性等で栽培コストなどに課題を抱えておられました。栽培の省力化、低コスト化の研究、優良種苗の開発、栽培者の人材育成が、県産の生薬供給を拡大していくためには急務であり、県産生薬の産地の復興につながると考えます。

一方、県産生薬の活用による薬業振興は、中南和地域の発展の観点から重要な課題です。そのためには、県内製薬企業と薬事研究センターが連携し、大和トウキなど奈良(大和)の生薬を配合した「和漢薬」を開発すべきと考えます。

県立医科大学においても、漢方医学薬学に関する教育・研究・診療活動の充実を図るため、本年3月に「大和漢方医学薬学センター」を設置されました。センターの名称に「大和漢方」という言葉が入っており、私の思いに通じるものがあり、今後の活動に大いに期待するところです。

現在、奈良の薬業は厳しい状況にありますが、くすりどころ奈良の和漢薬を「大・和漢薬」というブランドで普及させるなど、漢方のメッカ推進プロジェクトの幅広い取組により、薬業振興はもとより県産業活性化に結びつけてほしいと考えています。

以上、私なりの想いを述べましたが、特に次の点について知事にお尋ねします。

約2年間進めてきた「漢方のメッカ推進プロジェクト」において、薬草の産地育成にどのように取り組んでおられるのか。

また、薬業振興はもとより県の産業活性化のため、どのような取り組みをされていくのでしょうか。

3.御所インターチェンジ周辺の産業集積地の整備について

県南部地域は、過疎・高齢化が進展し、地域産業の活性化など多くの課題を抱えています。

一方、奈良県は、用途地域面積に占める工業系の割合が全国最下位であり、他府県と比較しても工場適地が少ない現状にあります。

このような課題を解決する一つの施策として、京奈和自動車道御所インターチェンジ周辺において、産業集積地を形成する事業が、愈々、本格的に予算化され、推進・実施に御盡力頂いています。

御所インターチェンジ周辺は、中南和地域の通勤圏内であり、この地域に就業の場が確保されることは、若年層を中心とした人口流出の阻止、Uターン、Iターンを促進するなど、南部地域の振興に寄与いたします。

そのため、この事業に対して、私の地元、御所市はもちろんのこと、通勤圏内となる天川村、黒滝村をはじめ、吉野・県南部地域の方々の期待は大きいものです。

今まで以上に、県・御所市にご尽力いただき、本事業の一日も早い完成を願うものです。

私は、本年2月定例会にて質問・要望をいたしましたが、京奈和自動車道御所インターチェンジ周辺の産業集積地事業において、どのように企業の誘致活動を展開していくのか、また現時点での事業の進捗状況は如何か。あわせて、御所東高校の跡地を産業集積地として是非活用されることを要望し、知事のお考えを重ねて尋ねます。

4.金剛・葛城・二上地域の魅力向上と観光振興について

県南部地域、とりわけ金剛、葛城、二上地域は、古事記、日本書紀の舞台ともなり、多くの先人の修行の場となった地で、今なお日本の原風景が残っています。

この地域には、我が国最古の官道といわれている竹内街道や葛城古道が整備されており、多くの方が訪れ、沿道の自然景観に浸りながら歩いてゆっくり歴史文化を体感されておられます。

一方、昨今、中高年の登山ブームや「山ガール」といわれる女性ハイカーに自然とのふれあいや健康づくりの場として注目されている金剛葛城自然歩道、いわゆるダイヤモンドトレールもこの地域の新たな魅力で、多くの方が訪れています。

このダイヤモンドトレールは、香芝市の屯鶴峯を北の起点とし、二上山、葛城山、金剛山を経て、大阪府の槙尾山までを結ぶ全長45.3キロの自然歩道で、金剛生駒紀泉国定公園内に位置しています。

平成23年には、ダイヤモンドトレールとその周辺エリアの魅力を再発信するため、奈良県、大阪府、周辺の市町村が参画して、「ダイヤモンドトレール活性化実行委員会」が発足し、連携を図りながら、春の山岳マラソン、春・秋にはハイキングイベントを実施するほか、歩道周辺整備などの取り組みを行っていると聞いています。

ダイヤモンドトレールなどの観光資源を整備、充実することで、金剛、葛城、二上地域の魅力を向上し、より多くの観光客に訪れていただけるような取り組みが必要と思います。県の施策・支援を求める次第です。

併せ、葛城山頂における移動支援について要望します。

葛城山では、山頂からの眺望はもとより、春は「一目百万本」といわれるツツジ、夏は納涼、秋はススキや山野草、冬は樹氷・霧氷と四季折々の風景、自然を満喫でき、観光地として魅力のあるすばらしい地域です。

葛城山頂へは葛城登山口駅からロープウェイで葛城山頂駅まで登ることができ、山頂までは散策路が整備されていますが、坂道も多く、距離も長いことから高齢者の方などにとって困難な道のりです。また、地元の人たちからも、もう一度、眺望美しい葛城山に登ってみたいという声も聞きます。高齢者も含め快適に気楽に散策登山ができるよう、例えば、ゴルフ場にあるカートなど、移動支援となるようなものを導入してはどうでしょうか。移動支援導入に際して、様々な課題があると思いますが、高齢者・身体障害の方などのためにも地元市町村などの関係機関と連携し、導入に向けて検討していただくよう要望し、知事の所見を尋ねます。

5.公立学校における運動部活動など学校の特色化について

8月に開催された全日本中学校体育大会では、白鳳中学校の生徒が水泳の背泳ぎで100m、200mで優勝するという快挙を成し遂げました。また、十津川中学校の男子剣道部が、県大会で団体、個人ともに優勝し、近畿大会、全国大会でも活躍するなど、県内中学校には各種競技で優秀な成績をあげる生徒がたくさんいます。

しかし、優秀な成績をあげた生徒が県内に留まらず県外の高校へ多数進学しているのも事実であります。

また、県南部・東部の中学校では、生徒数が減少していることから部員不足が生じて、野球、サッカーなど団体で行う運動部活動ができない状況であります。

このような現状のなかで、優秀な生徒が県外へ出ていかなくてもよいように、また、南部・東部の生徒がやりたいスポーツを自由に選択できるよう、高等学校における運動部活動の充実が重要と考えます。

県内では、「体育系の学科を添上高校、大和広陵高校」に設置し、トップアスリートの育成や、生涯スポーツの指導者養成に取り組み、特に部活動では、陸上競技部、レスリング部は全国優勝に輝く戦績を収めています。

また、他の学校でも、全国的に公立学校では近年類を見ない活躍で花園を賑わせる「御所実業高校のラグビー部」や、国体やインターハイなど、男女合わせて全国優勝80回を超える「高田商業高校のソフトテニス部」、更に「榛生昇陽高校(しんせいしようようこうこう)の自転車部」、「王寺工業、奈良朱雀高校のボクシング部」も全国のトップレベルで奈良県の名を全国に轟かせています。

これらの卒業生は、日本代表として世界大会にも出場し、好成績を残していることも奈良県のスポーツ振興に大いに貢献しており、高く評価できます。

県教委ではこれまで、教育課程の中で様々な学科、コースを設置し、高等学校の特色化を図ってこられましたが、新学習指導要領でも明記された部活動も、学校教育活動の一環として、それぞれの学校の特色として捉え、スポーツを志向する若者が受験したいと思われるような学校づくりも必要ではないかと考えます。

その際、県北部地域の生徒が、南部、東部地域の学校へ通う場合、県の寄宿舎を活用することも工夫した支援になると思われます。なお、御所実業高校のラグビーフェスティバルは、毎年夏季に開かれ全国高校生ラガー強豪校25校が勢揃いします。合宿所の提供も支援すべきです。県外からも奈良県の高校に憧れ転入してくれる大いなる奨励に連なり、良いのではないかと期待します。このような取り組みを行うことで南部、東部の活性化、なかんづく県全体の活性化にもつながります。

県教育委員会として、県立高等学校における運動部活動を生かした魅力ある学校づくりについて、併せ、文化部活動をも含め、県外からも奈良県の公立学校の魅力に注目・憧れ、志望される学校に門戸を開放する奨励策を検討されたいと存じますが教育長の所見を尋ねます。

6.過疎地域における教育の取り組みについて

次に、過疎地域における教育の取り組みについて、お尋ねします。

全国的に子どもが減少し続け、今後とも減少が見込まれます。本県の南部・東部の過疎地域においては、平成10年度に2万人近く在籍した児童生徒数が、25年度には1万人余となり、この15年間で半減しています。奈良県全体の、80%程度の減少と比べても、急激な減少です。

また、この間、小・中学校の統廃合も進み、この15年間で20校以上がなくなりました。その地域に住んできた者の拠り所であり、人生の思い出、憩いの場所である学校が消えていくことは、たまらなく寂しいものであります。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口では、全人口のうち0歳から14歳までの割合が、全国や奈良県全体では、平成22年に13%程度であったものが、32年には12%程度に下がる見込みです。本県の南部・東部地域においては、平成22年に約10%であったものが、32年には8%になってしまう見込みであります。

今後、更に子どもたちが減少し、過疎地域の教育環境は、益々厳しさを増していく状況が想像に難くありません。今、過疎地域で学び育っている子どもたちの学習を確実に保障していくことは、極めて大事なことであります。

県では、以前から複式学級の編成基準を国の基準より引き下げ、教員の配置などを配慮されていますが、市町村でも独自に講師を配置し、子どもたちの学ぶ環境の向上に取り組んでいます。

しかしながら、複式学級が残り、多人数の集団による学習機会が少ないなど、恵まれぬ状況にあります。

県教育委員会においては、複式学級の課題克服や市町村費負担講師の解消を含め、過疎地域における小中学校の学習環境の改善に、なお取り組まれるべきです。今後の方針も含め教育長に尋ねます。

7.ふるさと納税への取り組みについて

「ふるさと」を後にして都会へ移住している人、とりわけ過疎地域では、やむなく、都会へ移住している人が増えています。

しかし、そういった人々に、ふるさとを顧みない人はいないと私は思っています。

古い言葉ではありますが、「故郷に錦を飾りたい。」という気持ちを持っている人は、多くおられるに違いありません。

これらの人々にとって、ふるさと納税は、「故郷に錦を飾る。」ための1つの役割を持っていると言えます。

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