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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2015年10月号

平成29年ユネスコ記憶遺産の登録を目指していた「全国水平社創立宣言と関連資料」は、国内選考(16件が申請)2件から漏れた。人権文化のバイブル的(聖書)意義をもち明日へのポリシーとして、申請取り組みが昂揚し、僅か三ヶ月にて多くの賛同団体が集結、13万人以上の署名等、寄せられていただけに残念である。けれども水平社創立の心はこれからも発信し、続けて行く目的には揺るぎなし。登録に尽力くださった皆さんの御支援に感謝。▼人生、喜怒哀楽を帯同。記憶もいろいろ「嬉しかったこといつまでも皆で共有し留めおきたい・否、嫌いだったこと捨てたい・忘れきれないが仕方ない反面教師にして辛抱しよう」等々、そんな記憶も時と共に薄らぐ。今年は戦後70年。辛苦の記憶を呼び戻した体験者も高齢だ。昭和一ケタ生まれも少なく私はその一人。生命を脅かす戦争は最大の人権侵害。いのちとくらしに関する歴史は、世界中の人々の共通の記憶にせねばならぬ。▼9月19日、憲法9条で禁じられている集団的自衛権の行使を含めた11の法律「11把1絡げ」の安全保障関連法(偽りの戦争法案)が「自民・公明連立与党」で可決し成立。存立危機事態の線引きや、具体的な必要性など、審議を重ねるにつれ疑問の声が膨らんだ。憲法学者、法曹関係者が憲法違反だと「志しを曲げないプロの警告」もお構いなし。「法的安定性は関係ない」と語った総理補佐官の言葉に連立与党の本意あり「化けの皮」を剥がされた。「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、次世代・元気・改革の野党も手を繋いだ。▼戦後のスターで俳優・歌手の鶴田浩二さんは、♪何から何まで  真っ暗闇よ  筋の通らぬことばかり♪ と音を正確に聴き分けるため、難聴の左耳に手を添え歌った。プロ意識から生まれた立ち姿が粋だと真似る者もいた。 ▼今国会の安保法案は国民世論の約7割が猛反対。自公連立与党の国会議員の皆さんは両耳を塞いで国民世論の声を聞かなかった。微かな声にも耳を傾けるのが政治家の務めではなかろうか!心根に主権は国会議員にありと、嘯く(うそぶく)横柄さに国民の憤慨は、忘れたくても忘れられない「憤慨の記憶」に残るだろう。曖昧な「存立危機事態」とやらの、筋の通らぬ御託を並べれば、「集団的自衛権の行使」「軍事国日本の道」も安倍内閣らの権力者とアメリカのご都合で、「苦役を強いることのできない」憲法条文も、9条どころではない解釈変更でサッサと決められることになる。2015年の政局国会は悪魔の如き恐怖なり。個々人の記憶遺産に無理強いの登録となった。 クワバラ クワバラ。

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