MENU

水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2017年6月号

大きさ長さが同じでも、一方が大きく見えたり短く見えたり、人物像でも見方によって少女が老婆に変わる「トリックアート」。目から入ってきた情報が脳内で「錯覚」を起こす不思議な現象。いわゆる「だまし絵」。道路でも、下り坂なのに実は上り坂。そんな坂が全国数箇所に点在。青森県には「後戻り坂」と呼ばれる坂がある。下り坂でクルマを停めて、ギアをニュートラルに入れると、前進するはずのクルマがバックする不思議な坂。実際は下りに見えているだけで、横から見ると上り坂であり、なんら不思議ではない。建物や道の長さ、配置など周りの環境で視覚は騙される。▼ところで今、参院では「自・公・維」が賛成し衆院を通過した「共謀罪」が審議入り。ただ政府はイメージアップのため?「テロ等準備罪」に名称を改めた。「国際犯罪防止条約」を締結するためには必要なようだが・・? 衆院を通過した際、深々と頭を下げていた金田法相。金田大臣と言えば、共謀罪に関わっての答弁が二転三転、数々繰り返してきた。挙げ句、「私の頭脳では、対応できない」旨の発言まで飛び出すミステリー。現行の法律では対処出来ないところは何なのか? 納得できる答弁がないまま通過。▼理屈が通らないことや、理解できないことの多き中で、共同謀議(違法行為を共同して行うこと、2人以上の者が合意すること)の意味だけは辞書で教わった。当然、テロや凶悪犯罪を水際で防げるのであればそれに越したことはない。誰しもが思うことだが、物事のほとんどは表裏一体。表(共謀罪・テロ等準備対策)裏(人権侵害・冤罪)自然とこんな絵が見える。一つの絵の中に二つの顔が存在。▼この法案、物で例えると、軍人が戦闘以外の日用品として常備するアーミーナイフ(ナイフ・缶切り・栓抜き・コルク抜き・ハサミ・ドライバー・ノコギリ等)を、警察官にも逮捕用の日常品として、このナイフ(テロ等準備罪用)の所持を義務化。使い道は多種多様なのでとっても便利。誤認逮捕も逃げ道たくさん!一旦アーミーナイフ(テロ等準備罪)所持容疑で逮捕しておきましょう、と「凶暴」な捜査にならない事を願うばかり。▼今日6月1日は人権擁護の日。その人権擁護委員制度は、日本国憲法の施行後まもなく誕生し、基本的人権の尊重を大きな柱に、憲法と共に歴史を積み重ねてきた。戦後を振り返ると、平和、人権、環境は国民の努力によって良き方向へと伸長してきた。しかし近年、周辺の景色(隣国)が変わったのか、道(日本)が変わったのか?『平和(9条)・人権(共謀罪)・環境(原発)』安心の上り坂が危険な下り坂に見えてくる。国にこの坂『後戻り坂』ですよね?と尋ねても「錯覚」ですよと返ってきそうだ。

戻る