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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2017年8月号

記憶と記録と対策。昨日は何を食べたか、どんなシャツを着ていたか、あまり記憶に残らない。けれど、何かの節目や催事、人生にまつわる見合いだとしたら、食事の内容や自分の服装、相手の容姿までも記憶に残る。日常の変化や対策、意識の度合いが記憶を刻む。喜びや悲しみは忘れない記憶となる。甚大な自然災害など、悲しい出来事は脳裏に残り、忘れてはいかんと己に言い聞かす。ましてや身近で起きればなおのこと、忘れられない。私も戦時中、命の危険を感じた空爆は今も忘れられない。▼先月、福岡・大分の県境を襲った九州北部豪雨災害では、死者35人・安否不明者6人の甚大な被害あり。特に被害が大きかった福岡県朝倉市黒川地区(八つの集落)。集落が消滅してしまうほどであった。その状況下、宮園集落では素早く避難し、奇跡的に全員が無事。それは5年前に起きた平成24年7月九州北部豪雨(熊本、福岡、大分の3県で死者計30人、行方不明者2人)の経験が活かされていた。下流にある民家の水没状況と、水の勢いが5年前より酷い事を、覚えていた男性が避難を促したからである。▼近年、大地震や異常気象の風水害が多い。その時に役立つのが経験。宮城県では「3.11伝承・減災プロジェクト」の名のもと、被災事実を後世に伝承し迅速な避難行動に繋がる様、県内14市町、188箇所、256枚の津波浸水表示板を設置するなど、有事に役立つよう地域住民だけでなく、訪れた人々にも注意喚起を行っている。加え、東日本大震災の津波の記憶を風化させず、後世に伝える「しるべ」、未来を見据えた命を守るプロジェクトに取り組んでいる。「記憶・記録・対策」は身を守る「三本の矢だ!」▼成果に繋がる三本の矢と、先が見えない三本の矢「金融緩和・財政出動・成長戦略」アベノミクス。わかりやすく果実栽培に例えると、大金(税金)を使い立派なデフレ脱却のインフレ果実農園が完成。市場に出回るデフレ果実よりも、成長したインフレ果実。しかし、見た目より旨味もないし値も高い。それとも多く稔らなかったのか、皆のお口に入らない。トリクルダウンは失敗か。東京オリパラまでにインフレ果実が食べられるのか。それより、アベノミクス農園倒産後の膨大な借金(税金)が心配だ!▼兎にも角にも「記憶・記録・対策」は大事。「記憶なし、記録破棄、対策はその場しのぎの嘘」では「空いた口がふさがらない」と怒りを通り越し呆れる国民。内閣支持率ダウンは国民からの三行半を示すもの。ところで皆さん「モリそば・カケそば」最近いつ食べたのかを思い出せますか?私は手帳を見返し記憶を辿ることが多い。ただ、食べた物まで書いてない。今後、食べた物まで書こうと思うが、言い切ると問われた時に困ります。大切な手帳(記録)を破棄したと不自然な嘘もつけません。だからやっぱり書きません。正直に伝えることが対策の一歩目、ごまかしは、後ずさりするだけの退策に過ぎない。

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