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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2017年11月号

「驕り(おごり)と不信」はひとつ。選挙の主役は候補者ではなく有権者。全国が注目した都知事選、都議選、衆院選から得られる教訓であり、過信は禁物。衆院選で安倍政権を終わらすと、前原代表(民進党)が希望の党との合流に踏み切った。その「手段」と小池代表(希望の党)の「手法」が噛み合わず惨敗。結果的に与党ヘのお膳立てとなった。比例区では野党が与党を上回り、小選挙区でも野党1人の選挙区は勝ち越している。傲慢な審議の進め方や、権力の私物化に待ったをかけたい有権者。けれど、その声が届かない野党の分裂に危惧。特別国会も今日、開会されるが真摯な対応が見られるのか?注目する。▼衆院選開票日、台風21号の報道と選挙報道一色の時間帯に、視聴率20パーセントを超える村田諒太選手の世界戦(ボクシングの再戦)が放送されていた。前回のタイトルマッチは、疑惑の判定により王者獲得を逃した。試合後、WBA会長が異議を唱えるほど「不可解」なジャッジだった。しかし村田選手は、私は選手ですとしか口にせず、押忍の精神を貫いた。「不可解」には森友学園や加計学園のように、忖度がある。▼この忖度によって議席獲得を逃した選挙区があった。奈良1区だ! 選挙は自民党の小林喬氏90588票。 希望の党の馬渕澄夫氏88082票。僅差で小林氏が当選を果たす。落選の馬渕氏の惜敗率は97、265% 、希望の党(比例近畿ブロック)では21人中、2番目。 一方、京都5区で落選した希望の党の井上一徳(新人)候補は惜敗率32、493%、17番目で復活当選。党内の決め事ならまだしも、産声を上げたばかりの政党。しかも新人。権力の私物化は忖度どころか露骨な依怙贔屓。▼奈良県は4選挙区から3選挙区となり、定数が1減された。地方にとって国会議員が減るのは大きな痛手。それは一票の格差の是正からだ。各党の比例序列の決め方に党首のお友達贔屓あり、言動矛盾を露呈した小池さんはそれ以上かもしれない。この一票の格差の根幹が揺るがされた気がしてならない。それは、馬渕氏に投票した人はもちろん、国民の大半の人がそう感じるのではなかろうか。選挙はフェアーであってほしい。有権者を忘れるべからず。こんな理不尽な結果にも、馬渕氏は「不徳の致すところ、政治を見つめ直す機会」と言い張った。奈良県出身の村田チャンピオンと馬渕前代議士から恨み節は出ない。立派な人だ!「謙虚と信頼」はひとつ。

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