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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』 2018年12月号

平成最後の師走。30年前の平成元年、大納会で日経平均株価が38,915円87銭の過去最高の高値(4年間で3倍)を記録し、バブル経済は最高潮。不動産、ゴルフ会員権は数日も経てば破格の値上がり。皆がこぞって投資、銀行も積極的に融資した。けれどもバブル経済は瞬く間に崩壊▼企業は暗転、設備投資の見送り、借金返済、事業縮小、人員削減へ。銀行は一転、貸し剥がしに方向転換。甘い景況話に乗った企業は軒並み倒産。不良債権を抱え過ぎた銀行は破綻。振り返る平成の30年。幕開けは光と影が同居していた▼消費税導入(3%)後も景気減退。対策の起爆剤として国費ベース(国債発行)約10兆円が公共事業費に投じられた。バブルの感覚が冷めやまぬままの自治体行政。補助金目当てに箱物建設。後々の維持、管理が大きな重荷負担となり大損失。自治体の財政破綻が深刻な状況となる▼国の債務残高(国=政府の借金)も急激に右肩上がり。利息だけでも本年度分9兆円余。借金は雪だるま式に膨れ上がり今も増え続けている。新しい時代は約1100兆円の債務を抱えて始まる。政府の金融資産、対外純資産をはるかに超え、帳面面は国民の金融資産(1832兆円)でカバーのペテン。危険であるのは言うまでもない▼ところで、師走になれば「猫の手も借りたい」との言葉あり。猫は爪を引っ込めたときには爪が隠れる仕組み。爪が出ていると、歩く時に邪魔になり、獲物を狙う時、爪音で気づかれてしまうからだと言う▼平成の教訓のひとつは、むやみに爪を伸ばし過ぎてはダメだと、改めて気づかされたのではなかろうか。カルロス・ゴーン氏の逮捕もそのひとつ。大胆さも時には必要!? 私的な執着心に爪を伸ばされては、周りの人々もその爪でケガをさせられる。迷惑千萬!政治も然り!

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