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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平思考』2019年10月号

アジアで初のラグビーW杯が日本で開催(9月19日~11月2日)。出場20カ国が今、決勝トーナメント進出(ベスト8)をかけ激戦が繰り広げられている。日本も世界ランク2位のアイスランドに歴史的勝利!目標のベスト8に近づいた!世界トップレベルの力強さ、華麗なプレーに魅了のなか、お辞儀が注目された。高校ラグビーの聖地、花園で行われたイタリア対ナミビア戦の一幕。試合途中土砂降りとなったが、観戦者は席を立たずに応援。その姿に終了後、両チームの選手が客席に向かって深々と四方へお辞儀、客席からスタンディングオベーションを受けた。両国のキャプテンは「リスペクトを示したかった」「感謝の気持ち」とインタビューで語る。客席へのお辞儀はニュージーランド対南アフリカ戦でも見られた▼プレー以外の話題は他にも。試合会場とその周辺のビールの売上がサッカーW杯の5倍とも言う。ファンたちは試合前、試合中、試合後も勝敗に関係なく健闘を称え左手でビールを持ち乾杯!右手はいつでも握手が出来るように、何も持たない慣わしがあるそうだ。試合は客席の応援や、審判に対する選手たちの態度も紳士的であり、審判もプレー中、反則にならないよう的確なアドバイスを声にして選手に伝える。注意も含めた反則には丁寧な説明を行う。信義な姿勢は観覧席を見ても瞭然、適味方を無理に分けないノーサイドの一体感がある。爽やかな光景だ▼最近ビジネスやスポーツでもよく耳にする「リスペクトとリベンジ」。意味は、「尊敬」「敬意」「尊重」。人の行いや性質、技術など価値を認めて自分も学びたい思いが込められている。リベンジは20年前、松坂大輔投手が発し流行語となった。一度敗れた相手に対して、努力を重ね勝利で「借りを返す」という使われ方が多い。されど、国際政治は旧態感情の侭、リベンジが「復讐」「報復」「仕返し」のように復讐合戦だ▼日本も然り、日韓関係はいま最悪の状況にある。21世紀になっても各国の政治は右手を空けず、両手満身に持ちきれないほど武器を抱えている。右手をあけておく「心豊かな楕円のボール(敬意の精神)」を抱え、パスで心を繋ぐ心技一体を願う。人も物も見方、捉え方、考え方で善き方向へと導く。未熟な精神にしがみ付かず、謙虚にリスペクトを積み重ねないと国も人も信頼関係は築けない。お辞儀と握手は大事なこと。兎にも角にも、自国の利害政治に煽られて国民同士がいがみ合うのは本当に不幸でしかない。歪みで愛国心(応援サポート)を踏みつぶしてはならない。

 

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