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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平思考』2019年9月号

時代劇(チャンバラ・捕物帳)を懐かしむ高齢者に応えてBS放送(テレビ)では専門チャンネルがある。昔は、銭形平次や遠山の金さん、鬼平犯科帳に水戸黄門など、民放でも長寿番組だった。その人気の要因は、勧善懲悪がはっきりしおり、悪巧み、悪あがきを許さない世直しにある▼善は正直、悪はずる賢い構図。悪役には散々悪事をはたらかせ、悪事がバレ追い詰められると善人に罪を擦り付け、往生際の悪さを演出。視聴者の怒りが頂点に達したところで、銭が飛び、桜吹雪が現れ、三つ葉葵の印籠を出す。決め台詞と動かぬ証拠で悪人はお縄。鬼の平蔵(鬼平)の決め台詞には、人の心に同居する善と悪を見破り、諭すシーンにも魅力あり▼近頃は、時代劇に変わり、増えてきたのが刑事(警察)もの。動かぬ証拠は、指紋やDNA鑑定、防犯カメラ(映像)に携帯動画。ドライブレコ

ーダーもドラマで使用。いま、このドライブレコーダーに関わる報道が後を絶たない。特に「煽り運転」である。ドライブレコーダーに映し出された映像を見ると、倫理感や心得、社会性の言葉は何処にもない▼先月、分別あるべき大人(40代男、50代女)のペアが煽り運転から罪を重ね二人とも逮捕された。高速道路上で、割り込みや急ブレーキを繰り返した挙句、男は車から降り暴行。お連れの女も手馴れたように携帯電話で様子を撮影。この男女、さらなる告発動画の投稿により、彼方此方で悪事を起こしていた事も判明。天罰が下された▼また、先週、大阪府松原市の僧侶(60代男)が、急ブレーキを繰り返す煽り運転をした後、車から降り、被害者の胸ぐを掴んだ暴行容疑で書類送検。驚いたことに、事件を起こした時の出で立ちが僧衣姿だった。普段から強引な飛び出しや割り込みをしていたのか?仏の顔も三度まで、ブレーキは己の心にかけなさい、と仏罰が与えられた▼人は自分のずるさは許せても、他人のずるさは許せない。人は己に優しく、他人に厳しい、学ばなければ自分本位の生き物(悪の本能)だ。その誘惑に立ち向かわなければ、どんどん人間から遠ざかる。この真逆(持ち合わせてる善の心)に、真の喜びがある。喜びを求め人は強く(優しく)なるため、人間力を一生学ぶ。いつの時代も「天網恢恢(てんもうかいかい) 疎にして漏らさず」である。

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