MENU

水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』2020年8月号

■正志の『水平私考』

帰省、帰郷、里帰り、それぞれに意味は違えども、主人公は故郷を後にした人たち。ふるさとを離れる理由は概ね「学業・就職・結婚」。今年の夏はコロナ対策から帰省にも影響が出だした。歌い継がれる故郷(ふるさと)への心情を綴った唱歌に「♪兎(うさぎ)追いしかの山 小鮒(こぶな)釣りし かの川♪」で始まり「♪(こころざし)をはたして いつの日にか帰らん 山は青き故郷 水は清き故郷♪」で唄い終わる歌詞▼大正時代に作られたこの唱歌は、故郷を離れ学問や勤労に励み、立派になって故郷に帰りたい、との思いが込められている。しかし、一世紀を超えて故郷の現状が変わってきた。田舎は若者の流出と少子化も重なり、学校は廃校や統合で相次ぎ閉校。過疎化は勢いを増す。故郷を離れると帰郷しない状況を繰り返して、都会は人口増で田舎は減の二極化。21年前、人口減の自治体存続を危ぶみ「平成の大合併」を国が積極的に主導▼当時、全国3,200以上の自治体が、今は1,700台に減少。奈良県も当時、10市20町17村の47。今は12市15町12村の計39。県南部の五條市(西吉野村と大塔村が五條市と合併)や、東部の宇陀市(菟田野町・大宇陀町・榛原町・室生村が合併)は15年前「合併特例債」を受け発足。山間部に位置する両市の人口は現在2万9千人台となり、発足以降7千人以上の減少。私の住まう御所市も同じく約7千人減少▼大都会は国からの支援も受け、待機児童解消へ保育所整備にあくせく。6年前、東京一極集中を是正するため、各々の地域で住みよい環境を確保し、活力ある社会を創ろうと「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(5年間)」を閣議決定。第2期(今後5年)、2020年地方創生基本方針は纏まったが、過疎地の人口減少は非常に深刻。人口減=税収減。自治体格差の是正から始まった「ふるさと納税」も過疎地の財源確保に至らず▼私は21年前、県議会で「『祖先故郷の愛と資産で育ち、移住都会で納税』の過疎化社会構造に歯止めを願求し『故郷に錦を飾る』人生のプライドを発揮し、故郷活性化の趣として『ご恩返し、ふるさと納税』(国税措置をも絡めた案)」を提起した。現在の「ふるさと納税(返礼品納税)」は過疎地対策に繋がらない。あらためて過疎地に配慮の熱い議論を願う。「♪如何にいます父母  恙(つつが)無しや友がき♪」人が住んで居てこそ故郷、唱歌「故郷」(日本の原風景)も、田舎で暮らせる生活環境をも守らねば!

戻る