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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平思考』2020年12月

2020年師走、世界中が馴染みの薄い言葉で振り回されるなど、誰もが予期できなかったパンデミック(感染症や伝染病が世界的に大流行する)の大災難を。毎年、その年を振り返る恒例の「新語・流行語」にも初耳語多し。ノミネートされた30選から大賞が本日発表される。半数は「3密」や「ソーシャルディスタンス」など、新型コロナに関連するもの。それ以外では「AI超え」や「時を戻そう」「BLM」が目に留まる▼「AI超え」は将棋の藤井聡太棋士が、不利な状況からAI(コンピュータ―)を用いて有利な状況へ導く最善の手(6億手先)を23分で指したことから生まれたらしい。「時を戻そう」は、お笑いコンビ(ぺこぱ)の、絶対に人のせいにしないツッコミネタの台詞とやら。海外から影響を受けたのは韓流ドラマ「愛の不時着」と、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)の頭文字を略した「BLM」▼BLMの訳しかたも様々。黒人の命を粗末にするな!と訳すのがベストだと言う。これまでも命が軽んじられてきた歴史あり。今年も警察によるアフリカ系アメリカ人に対する理不尽な残虐行為が、繰り返されて始まった人種差別抗議運動。米国内での抗議運動が日本の流行語に選ばれる背景には、人種差別はアメリカだけの問題ではないということである。海外から受ける言葉として「ロックダウン」や「分断」は私には印象深い▼今年は愛の不時着の舞台、韓国と北朝鮮の間でも南北共同連絡事務所が爆破され融和ムードも一変、再び分断あらわ。中国香港特別行政区では、中国が進める香港国家安全維持法の強行施行に、香港民主派反発の大暴動。アメリカでは大統領選挙とも重なり米中関係の分断悪化。同様に米国の国内でも対立国論の溝埋まらず、人種、領土、歪んだイデオロギー等、争いが絶えなかった旧時代へと、時を戻されているのかのようである▼「3密」「ソーシャルディスタンス」「ロックダウン」耳にするのは世知辛い言葉の続出。人間関係も、敗北を認めないトランプ氏のようにスカッとしない。AIなら「ワタシノ・フトクノ・イタストコロ」と一手先の敗北宣言となる。日本も核兵器禁止条約発動にAIは「トキヲモドシテ・カンガエロ/コロシアイヲ・キソウナ/タスケアイヲ・キソエ」と世界平和のパイプ役として批准に賛成のはず。コロナ感染対策に加え、政治でもAI「富岳」に頼りたくなる反省の一年だったのか。

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