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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』2021年6月

江戸後期から明治中期、日本でも大流行したコレラ。コレラ菌に汚染された水や食物を口にすることで感染し、発病後数時間で死亡する人も多く「三日ころり」と語られた。コレラ菌は140年前、中国・朝鮮半島・対馬を経由して、下関に上陸したと伝わる。この時、コレラ治療と深い関係にあったのが関門海峡に浮かぶ巌流島(山口県下関)。巌流島には伝染病専門病院が造られ、対岸の彦島に消毒所が設けられた▼毒素を生み出す菌、コレラパンデミック。100年前『菌よりも、はるかに小さい』顕微鏡では発見すら出来なかった『謎のウイルス=スペイン風邪』パンデミックは世界を震撼させた。今は伝染病から感染病(感染症)が主流。遡れば日本で初めて顕微鏡が造られた幕末期。機器も薬もなく原因不明の病と闘ってきた先人の不安と苦渋は計り知れない。ウイルスに感染しないダチョウの抗体からワクチン開発。黄熱病の野口ワクチンの創薬も然り!▼見えなかった菌、見えないウイルスを発見しようとする意気込み。医療に携わる人々の使命感と探求心は、医薬、機器、技術を格段に進歩させ続ける。先人の苦労と努力の歴史を経て現代あり。しかし、ウイルスも負けじと変異。「ウイルスとワクチン・化合と融合・科学的追究」の繰り返し。新型コロナも従来型(中国)から、更に危険な英国型に国内でも変化。さすれば従来型は何処へ?国内で自然変異か?持ち込まれた英国型株の拡散なら水際対策の失敗だ!▼巌流島(正式名:船島)に避病院(ひびょういん)が仮設されたのも水際対策から。岩礁多き難所の船島を巌流と称した人物が佐々木小次郎と言われる。宮本武蔵との剣豪決闘「巌流島の戦い」の逸話は広く知られる。武蔵といえば、「地・水・火・風・空」5巻で構成された兵法の極意を記す「五輪書」が有名。前回東京オリンピック大会(1964年)招致へ向けてうまれたオリンピックの俗称「五輪」表記も「五輪書が発想」の起源▼五輪の文字が日本の新聞に記載されてから60年。いま2回目の五輪開催が危ぶまれる。本年も残り約半年。通常国会は会期末、都知事選にオリパラ開催、総選挙(衆院任期満了10月21)へと続くが、急務であるワクチン接種は混雑進行中。兵法の「彼を知り己を知れば百戦危うからず」を借りれば、我々の防衛は執拗な変異ウイルスに心の隙を突かれて4敗(第4波)。五輪書の「遠き所を近く見、近き所を遠く見る」。喜びなき拙速、いま我慢!収束を待ちくたびれての焦りは禁物。わが日本は勿論、世界五大大陸コロナ禍の収束願求!

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