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日々の活動DAILY ACTIVITIES

正志の『年頭所感・水平社創立100年を迎えて』

2022年の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。昨年も社会経済は、新型コロナ禍により大きく疲弊し、日常生活で我慢を強いられています。その中で、希望を見出せない人が増えています。特に、非正規労働者が多い女性の中で職を失う人が増加し、そのために女性の自死率が増えています。格差是正、男女平等社会を実現する上で、日本社会に突きつけられている課題に対して、昨年10月に発足した新政権下で、景況感が好転するよう消費マインドを醸成し、中小・零細企業をはじめ企業業績の回復、ひいては雇用回復につながる政策が望まれます。他方、未曾有の災禍に苛まれる社会は疎外感と閉塞感が満ち、差別・人権侵害が惹起しています。

それに対して、“コロナに負けない、差別を許さない”との声が各地 で湧きあがりました。誰しもが感染する可能性があると 思えば、忌避・差別を到底看過することはできません。それらの声に、社会に健全性を取り戻そうとする意思を見出すことができます。同様に、部落差別を許さない、ヘイトスピーチを許さない、障害者差別を許さない-いわゆる人権3法施行の2016年から5年が経過しましたが、差別は吹き荒れつづけています。アイヌの人たちの先住民族として誇りの回復、軍事基地を押し付けられる沖縄(琉球)の問題など、課 題は多くあります。被差別・弱者の反差別の運動は、尊厳を守る闘いです。その当事者を支え、共に闘う市民運動が立ち上がっています。被差別・弱者の声に傾聴し、しっかりと受け 止めていただきたいのです。そして、我が事として考え、差別を許さない立場に立っていただきたいと思います。

100年前の1922年3月3日、京都の岡崎公会堂に全国から参集した部落解放 運動の先人たちは、全国水平社を結成しました。創立大 会で採択した「綱領」の3つ目に、「吾等は人間性の原理 に覚醒し人類最高の完成に向かって突進す」とあります。先人たちは、被差別部落民とその他の人々が共に手を携えて、差別のない社会をつくろうと決意したのです。その思想は、国連が提唱する「SDGs(持続可能な 開発目標)」に見出すことができます。社会の構成員である私たち一人一人が、公平性と平等性の遵守、環境と平和を守る取り組みを進めなければなりません。さまざまな人権課題の研修を積み重ね、奈良県から人権政策の推進に努めていく所存です。新型コロナ禍の収束は見通せませんが、引き続き、感染予防に努められますようお願いいたします。

 

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