MENU

水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』2022年2月

正志の水平私考2022年2月

 

猫が人間の生態を観察する夏目漱石の長編小説『吾輩は猫である』(明治38年作)「吾輩は猫である。 名前はまだ無い。 どこで生れたかとんと見当がつかぬ」の書き出しで始まる物語。第6話(全11話)では当時、女性には医学の実践が禁じられていたが、産婆になりたい女性は長い髪をバッサリと切り、男性を装い講義を受け、開業にこぎつける。女性の産婆さんゆえに繁盛しすぎて、御上(おかみ)の目にとまってしまう▼その件(くだり)で「人間万事塞翁(さいおう)が馬七転(ななころ)び八起(やお)き、弱り目に祟(たた)り目で、ついこの秘密が露見に及んで御上(おかみ)の御法度(ごはっと)を破ったと云うところで、重き御仕置(しおき)に仰せつけられそうになりました」と続く。しかし女性たちが団結し、嘆願に及んで無罪放免へ。今後は勝手に産婆営業をしてはならないと御布令(おふれ)が出され良き方向へと改善に向かう▼これらずらりと並ぶ熟語が、コロナ禍の世に突き刺さります。規格外の感染力で世界に猛威を振るう新変異株「オミクロン」に日本も感染者が急拡大。人々の憩い「生活娯楽関連サービス業界」・「感染者対応に係る現場」関係者にとって、やっと落ち着き始めた矢先の急増に落胆は隠せない。国内で新型コロナウイルスが確認されて二年が過ぎた。感染者は増減を繰り返して六転び(第6波)。七起へ向けて皆で転ぶ期間を短くせねば▼アルファ株、デルタ株に襲われた昨年末の全国における新規感染者数は約500人。年が明け瞬く間にオミクロンなる呼称の変異株に新規感染者は日々、7万人を越えるペースが続く。「吾輩は新型コロナウイルスである。呼称は予め決められている。いつ変異をするのか見当つかぬ」。人間の防御を観察するかのように、緩みの隙間にウイルスは性質を変えて伝染。弱毒との情報が有るとはいえ、感染者の拡大は医療逼迫をまねく▼感染症対策と社会経済活動の両立を図るため御上(政府)は知恵を絞るが、経済と商人は我慢の中での奮闘だ。今後、御上からの御法度など、基本的対処方針の見直しも含めた迅速かつ的確な安堵を感じる御布令が欲しい。個々の対策、七起きへ向けてウイルス御免の3密回避、換気にマスク、検温と手指消毒での防御が万事!マスク不要の日常へ「禍福(かふく)は糾(あなざ)える縄の如し」早く福々を創出したいものです。

戻る