水平私考SUIHEISHIKOU
正志の『水平私考』2022年5月
戦争は「いのち・まち・くらし」を奪い、「人間の心」をも踏みにじり奪ってしまう。ロシア軍によるウクライナ侵攻(侵略)は断じて許せない。ロシアはウクライナが降伏するまで戦争を続ける様相だ。戦争止めよの交渉は難航、ロシアは攻撃の手を緩めない。首都キーウでは、無抵抗の民間人400人以上の遺体を放置。制圧されている地域は更に悲惨な状況下という。想像を絶する痛ましい映像に言葉を失う。戦争は恐ろしい▼20世紀前半の悲惨な世界戦争の歴史に学び、21世紀は人権が尊重される「人権の世紀」へと向かっているはずではなかったのか?理想を掲げる言葉と裏腹に「世界戦争の時代」へとループしてゆくかのようだ。第一次大戦(1914年7月~1918年11月)は帝国主義を背景に植民地再分割が激化、30ヶ国以上が参戦し、世界大戦争へと広がり、戦死者は1300万人、民間人も1300万人が犠牲と記録されている。当時、殺傷軍用の武器は、より能力が高い新兵器(毒ガス)へとエスカレート▼遡れば、日本も明治維新(最後の内戦 西南戦争)後、近代民族国家へ軍国化。日清戦争、日露戦争を経て、第一次世界大戦へ突入。勝利に加担した日本は軍国主義へと操舵。やがて国際的な孤立を生み、悲劇への道を辿る。満州事変(1931年 昭和6年)に端を発した日中戦争は、日本の状況を悪化させ、太平洋戦争(1941年12月~1945年8月)への火種とさせた▼1945年(昭和20年)米軍は8月6日広島、9日長崎に原爆を投下。人類史上初の核兵器使用により、20万人を超える死者を出した。こうした都市への無差別爆撃(生存権の破壊)に世界から人道倫理を唱える声が挙がった。しかしながら戦争は如何なる条約も不条理に被害を拡大させる。不遵守には怒りが増し、報復が人間を残酷な生き物へと追い込む▼1971年 国際赤十字委員会提唱の「国際人道法」では、武力闘争の最中であっても、軍事力と無関係の人々や病院など、非軍事施設への攻撃を禁止している。赤十字マークへの攻撃はすべて禁止だ。今日(5/1)は日本赤十字社創立記念日(西南戦争当時の博愛社)。死傷させるも、命を救うも人間(にんげん)。人間(じんかん)の闇と光の交錯に沈痛の日々。戦争を終わらせるための戦争に世界が巻き込まれない事を願うばかり。禍根は遺恨の火種となり、燻り続ける事を歴史は訓えている。隣国、日本も対岸の火事ではない。