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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』11月

「故(ふる)きを温(たず)ねて 新しきを知る」(古い物事をおさらいし、そこから新しい考え方や知識を得る)『温故知新』。孔子の言葉として現代でも、学びの場で活かされている。新しいものを創造する上で、故きは必要な指針となる。古き書物には、「人生の道しるべ」を書き記した物も多く、長い月日を経ても色あせない。今昔、人々が共存する上で大切な平和と幸福の訓えや、あらゆる分野で伝授されてきた「智慧の源流

10年前、「古典の日(11月1日)」に関する法律が施行された。体験や経験の智慧により、得られた歴史教科書(人文・社会学・自然科学・科学技術・芸術・芸能)を纏めて古典と呼ぶ。古典とは、時代を超えて規範とすべきものを指す。「国の優れた文化から得られる財産にふれ、心豊かな生活を実らせ、文化的で活力ある社会の実現に寄与」を目的とされている。「倭は国のまほろば」と奈良は古事記で詠まれた日本国家の原点。

こうした歴史文化には、多岐にわたる原点あり。今春、県議団グループで、世界最古で現存する庶民のための公立学校『旧閑谷(しずたに)学校)』(備前市)を訪ねた。講堂(1670年 創建)は国宝指定。建設に30年を費やし、堅固で壮麗な学校を完成。校内は多数の重要文化財や教育遺産があり、学校を取り囲む石築塀には、様々な細工が施された素晴らしい造り。沈まぬよう地表とほぼ同じ高さの石が地中に埋め込まれている。

当時の建築技術の粋に職人の神髄を覚(さと)る。仕事へのプライド、使い手への敬意、史跡の随所に大和魂が推察できる。美しい姿と景観は、先人達から引き継がれた気構えが形となって「経年美化」の如く深みを増す。その史跡で「あいうえお論語」なる本が販売されていた。「あ」から始まる論語は「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」の孔子の言葉。国内外、世間を騒がす邪悪に、この故き訓えは、いつ届くのだろうか。

 

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