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水平私考SUIHEISHIKOU

正志の『水平私考』2023年4月

▼9年前の水平私考(4月号)で「出会い多き新年度、嘘をついてもよいとされる4月1日。人間関係のなめらかさ、冗談を交えた嘘も時には楽しい。しかし罪を作り幸福を奪う嘘はダメ、取り返しがつかない。一年中エイプリルフールの如きに招かれるのはイヤだ!」と綴った。当時の話題はSTAP細胞論文不正や、耳が聞こえないふりを続けた作曲家がいた。また公権力による強要で『嘘の自白』を強いられ、48年間、拘束された袴田 巌(はかまだ いわお)氏の第2次再審請求に「死刑及び拘置の執行を停止」(2014年3月27日)を静岡地裁が下した。同日、ニュースは釈放を取り上げた。こうした冤罪事件は数多し。日弁連が一定の基準の下に支援する再審事案は105件。うち18事件が無罪となった。再審請求中は12件。又、再審請求(新たな目撃情報)が通る直前、異例の早さで死刑執行された現在審理中の「飯塚事件」には注視強めたい。

先月13日、袴田事件(1966年)の再審開始を東京高裁が認めた。これを受け、東京高検は再審阻止へと特別抗告を検討するも断念。裁判のやり直しが確定した。死刑判決で再審開始されるのは戦後5例目。うち4例は無罪。なぜ冤罪は起きてしまうのか。端的にいうと「事実を曲げる」嘘つき者が存在するからである。捏造には上司のプレッシャーや成果も絡み、思い込みの心理が動く。事実から答えを引き出さず、答えに合うよう図式を作る。誤りに巻き込まれた者でさえ権力のメンツを保つため正当化へ加担、ウソの上塗りに奔走。保身手柄の為に、他人を犠牲にする思考は完全なる人権侵害だ。袴田事件は今年で57年。誹謗・中傷を浴びせられ、人権と幸福を奪った。家族や仲間の人生をも破綻させるねつ造とエン罪は根絶すべし。道徳心と正義に従い、良識を膨らませましょう。嘘も方便とは申すが、方便はお釈迦様が説く幸福になる教えに使うべし。

▼思い起こすと2021年7月、沖縄辺野古の米軍基地の埋め立てに、戦没者の遺骨が眠る土を使う計画があり、奈良県議会は政府に対して反対する意見書を全会一致で可決(当時、沖縄県以外の都道府県議会で初)した。戦没者・家族の気持ちに立ち返り県議会議員一同が当事者意識で訴えた。SDGsの取り組みも然り、ハートフルな世の中に近づけたいものだ。公権力のウソの集団構成によって人権が踏みにじられるような悪しき慣例をブッ壊したい!

 

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